虚無の信仰―西欧はなぜ仏教を怖れたか

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  • サイズ B6判/ページ数 353,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784901510059
  • NDC分類 182.3
  • Cコード C1014

出版社内容情報

1820年頃、ヨーロッパで「仏教」が成立する!?
「仏教」は、神なき死の宗教!?
ニーチェ・ヘーゲル・ショーペンハウアーら、近代ヨーロッパ思想の形成に大きな影響を与えた異文化の誤解と受容の歴史。

日本語版への序文

序章 仏教への誤解
亀の体毛は硬いか軟らかいか/ブッダという悪夢/希望から恐怖へ/「出会い」という虚構/ことばと物の誕生/頑迷なる無理解/言語の学習と古文書の解読/虚無というひとすじの糸/三つのニヒリズム

第Ⅰ部 信仰の誕生(1784年~1831年)

第一章 ブッダとは何か
「原始の世界」とは/水曜日のブッダ/フィヨルドの奥の坊主/ブッダ=エチオピア人説/ ひそやかな虚無

第二章 ブッダの正体
遠のいた惑星/実存した人物の生涯/その数は?/亡霊のスケッチ

第三章 浮上する信仰
新たなる問題/バラモン教よりも古い仏教/二人のブッダ/言語の解明/虚無の信仰のはじまり

第四章 虚無としての神
足を口にくわえて/ペテン師/無という純粋存在/軽蔑から承認へ

第Ⅱ部 脅威(1832年~1863年)

第五章 虚無への恐怖
慎重な虚無/おぞましき虚無/低劣な虚無/反宗教としての仏教

第六章 仏教徒ショウペンハウアー
黄金に輝く仏像/語りうるものの限度/最後のことば/凍りつくような冷たい風

第七章 人種差別の神話
画一化と滅亡/仏教という例外/ゴビノ

内容説明

1820年頃、ヨーロッパで「仏教」が成立する。研究が進展し、経典の翻訳がすすめられたその時期に、恐怖はかえって増大した。異文化誤解の歴史の謎に迫るフランスのベストセラー。

目次

仏教への誤解
第1部 信仰の誕生(一七八四年~一八三一年)(ブッダとは何か;ブッダの正体;浮上する信仰;虚無としての神)
第2部 脅威(一八三二年~一八六三年)(虚無への恐怖;仏教徒ショーペンハウアー;人種差別の神話;人類の終末)
第3部 衰退(一八六四年~一八九三年)(仏教的衰弱;ペシミズムの時代)
悲劇の予言

著者等紹介

ドロワ,ロジェ=ポル[ドロワ,ロジェポル][Droit,Roger‐Pol]
1949年、パリに生まれる。ソルボンヌ大学で哲学博士号取得。リセの哲学教授を経て、1989年よりフランス国立科学センター研究員、また72年からはル・モンド紙の書評担当を務める

島田裕巳[シマダヒロミ]
1953年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻、宗教学。元日本女子大学教授

田桐正彦[タギリマサヒコ]
1953年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻、中世フランス文学。1985年から翌年までフランス政府給費留学生としてパリ第三大学留学。現在、女子美術大学教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

9
19世紀西欧で仏教がいかに誤解のもと論じられたかを米英独仏の文献を中心に分析する言説史であり、解説で指摘されるようにサイード『オリエンタリズム』に通じる欧州批判とも読める。仏教の涅槃や無我といった概念を個を滅し、死や破壊を渇望する反社会的信仰と解釈した理由には、当時の欧州自身のはらむニヒリズムやアナーキズムが投影されていたという結部での解釈は今となっては陳腐な気がするが、原著が1997年に刊行されているので仕方ない。ブッダがメルクリウスと同一視されたとかエチオピア人と見なされたとか逸話に満ちた一冊である。2021/04/28

袖崎いたる

6
資料として。訳者のあとがきを読むだけでも良かったかもなぁ。もしくは著者の序文。お歴々のインド=仏教に対する手の平返しがたいへんアホらしく読める。さんざんdisってた翌年にはそこに哲学があることは否定できない!とか言い出すんだもんな。しかも結局だれもその実態を知らないママ、原典知らずのままで机上の空論ってパターン。西洋人というやつは理解したくて仕方ないんだってのがわかる。そのためには誤解も辞さない。カントの主観やヘーゲルの精神現象学なんてまさにそれやろ。特権ある視点を上に上に育てていく発展向上開拓ゲーム。2021/07/18

のうみそしる

2
ああ難しい。注釈が多すぎて死ぬかと思った。仏教がどのように西欧社会に広まり恐れられたかの歴史。仏教が誤解され利用され西欧の歪みをあらわす。魂の消滅を熱望するなんて全く理解できなかったのだろう。仏教や新思想を取り込んで結局優性思想につながる当時の空気感。本当の仏教の教義については記されていないので今後の課題とする。ローマへ、さもなくばインドへ。2022/04/30

takao

2
西洋では、当初、ニルヴァーナが魂の消滅として、仏教を虚無の信仰として怖れたらしい。2016/12/26

okaka

2
キリスト教とまるで異質な仏教がどのように西欧世界から誤解されてきたのかという事を語った本。他者を理解する時に自分の影を投影してしまうのは個人でもよくある事なので用心しておきたいところだけど、自分自身から逃れる事ができない以上、完全に客観的にもなれないというのがまた悩ましかったりして。2012/10/05

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