出版社内容情報
失われた言葉づかい、季節の移ろいを捉える繊細な感受性。
懐かしい家族の情景、遊び、学校、夏祭り・・・
子どもの鋭い眼と巧みな手によって、敗戦後一年目の夏がよみがえる。
〈養老孟司・解説より〉
いまでは、そういう時代もあった、というしかない。
この日記がかかれた年に、私は著者より二つ年下で、小学校三年生だった。だからというべきか、ところがというべきか、この時代の記憶は 鮮明に残っている。些細な違いを言い立てるなら、昭和二十一年に、私の家では、母親がデパートに買い物に行ったりすることはなかった。デ
パートなどというものが、この世にあるという知識も関心も私にはなかった。母は開業医で忙しかったから,それも当然であろう。しかも鎌倉 の町の中でも、牛馬がまだ多かった。本を読みながら歩いていて,何かにぶつかったからと頭をあげると,目の前に馬の長い顔があった。飼い
葉桶につまずいたのである。いまとなっては、そんな出来事が私の人生にあったとは、ほとんど信じがたい。
この日記を見ていると, 過去のさまざまなことが思い出されてくる。この時代から考えると現代は・・・
内容説明
失われた言葉づかい、季節の移ろいを捉える繊細な感受性。懐かしい家族の情景、遊び、学校、夏祭り…子どもの鋭い眼と巧みな手によって、敗戦後一年目の夏がよみがえる。
著者等紹介
山中和子[ヤマナカカズコ]
1935年、神戸市に生まれる。昭和19年(1944)9月より学童集団疎開で岡山県落合町へ。翌20年(1945)6月、神戸の家が空襲で罹災のため疎開地を去り、丹波地方に遠縁を頼り母親と二人で転居。同年8月終戦を迎え、翌昭和21年(1946)神戸の高羽小学校へ戻る。鷹匠中学校、県立神戸高校に在学中の6年間、新制作派協会の小松益喜氏にデッサン、油絵の指導を受ける。1959年、女子美術大学芸術学部洋画科を卒業。1960年より岡山県に在住
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年鎌倉生まれ。東京大学医学部教授を経て現在、北里大学教授。人と世界の見方に根本的な転換を迫る「唯脳論」を唱え、その衝撃は『解剖学教室へようこそ』(筑摩書房)、『中学生の教科書』(共著、四谷ラウンド)、またTVの昆虫採集番組などを通して年少の世代にも伝わる
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