内容説明
失業の先にあるのは「求職」「再就職」だけではない。職場を占拠せよ、労働を拒否せよ、偽通貨を流通させよ!闘いの都市ブエノス・アイレスが、いま、私たちに呼びかける。
目次
第1章 19/20―権力を解任する民衆蜂起
第2章 ピケテロ運動―自律性・水平性の実践
第3章 雇用主のいない企業、オルターナティヴ市場
第4章 都市中産階級の政治化―近隣住民アサンブレア
第5章 正義がないなら、エスクラチェがある―「母たち」と「子どもたち」
付録 コレクティボ・シトゥアシオネス+サンドロ・メッザドラ
解説 ブエノス・アイレス報告
著者等紹介
廣瀬純[ヒロセジュン]
1971年、東京生まれ。龍谷大学経営学部教員。仏・映画批評家『VERTIGO』編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつゆう
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インタビュー形式で幾つかの示唆に富んだやりとりの断章が見られるものの、予備知識なしに読むのは難しい。幾つか気になった箇所を読むだけでも良いとは思うが、俯瞰的に理解したい時は、まずは巻末の廣瀬氏の解説から読むと、わりかしスムーズに理解できるかと思う。運動のダイナミズムと国家との関係、それもハードな暴力ではなくソフトな飼い慣らしとの闘いはなるほどと納得。ただ、日本の場合一人一人がアルゼンチンに比して豊かで、問題がそこまで先鋭化しないのでどこまでこの議論が適用可能かも気になるところだが。2013/12/26
ばるたんせいじん
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「運動としての調査」を掲げる集団のインタビュー。本を読むことがまるで旅をおこなっているような刺激的な体験に満ちていた。自律とは相互依存のことであり、自己価値化、社会的利益性、エスクラチェといった概念をアルゼンチンの運動と対象しながら創造されていく。「オルタナティブな生活の様式、協働の形式、経済モデルが生み出されている現実を把握しえるような政治的仮説を生産すること」がいかに闘争的か。この集団が書いたアルゼンチンにおけるオルタナティブ教育の展開について書いた本「学校にはゾウがいる-郊外の子供と教師」を今度読ん2012/09/13
Francis
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2001年12月アルゼンチンで新自由主義政策に反発して発生した民衆蜂起をきっかけに広がった「アサンブレア運動」について考察。それはベーシック・インカムにつながるものであったり、あるいは地域通貨の試みであったり、あるいはコミューン的なものであったり、新しい社会の試みであった。やはり新自由主義が席巻している日本にとっても新自由主義後の社会を考える上で大いに参考になると思われる。2012/05/09