内容説明
開国の雷鳴、黒船来航す!大西洋を横断し、喜望峰をまわる大航海の末、ペリーが到着した日本は、激動する国際情勢の情報を着々と収集しつつあった…。日本は武力で対抗してくるのか、それとも交渉のテーブルに着くのか。水深が不明の江戸湾内に入ることはできず、艦砲射撃は封じられたまま。十分な食料もなく、長期の交渉は不利であることを熟知していたペリーがとった方策は、そして日本の交渉戦術は…。新しい国際政治のうねりが高まる幕末、現代日本の姿を決定した大事件のドキュメンタリーが新しい翻訳で登場。
目次
ペリー艦隊、日本へ
大西洋を越えて―ノーフォーク~セント・ヘレナ島
喜望峰をめざして―セント・ヘレナ島~喜望峰~モーリシャス
インド洋を東南アジアへ―モーリシャス~セイロン~シンガポール
中国海域へ入る―シンガポール~香港~黄埔~広東
中国を離れ琉球へ―マカオ・香港~上海~那覇
大琉球島那覇への初訪問
大琉球島奥地踏査
琉球王宮を訪問
ボニン(小笠原)諸島の踏査
ふたたび大琉球島那覇
第一回日本訪問・浦賀―江戸湾の十日間1
第一回日本訪問・久里浜上陸―江戸湾の十日間2
第一回日本訪問・日本を発つ日―江戸湾の十日間3
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シフ子
2
291.09 ペ 震災以来続く「日本人とは何か」の疑問から 外国から見た日本を知りたく読む。日本の階級社会 人種と文化の特質を詳細に調べ 開国前後の日本と諸外国の折衝に役立てている様子が伺える。女性を奴隷扱いせず伴侶と認める優れた特質 どの階級も初等学校に通い 安価な書物が大量に発行され 印刷と大衆向け廉価本で日本は数世紀先行していることから教育の高さがわかる。スパイが根づいていることからは 狭いムラ社会で監視があることで 先進国になった今も(震災の非常時も)犯罪が少ないこととつながるように感じた。2011/10/06
Ryo Sogawa
1
ペリー提督自身の記録等に基づく日本遠征の記録。平易で読みやすい。米国側の視点と戦略には、なるほどと感じた。2020/06/17
桑畑みの吉
1
ペリー提督監修のもとに当時の歴史家が編纂した日本への遠征記。上巻では日本概論=約200ページ、出発~中国=約150ページ、沖縄関連=約150ページ、第一回日本訪問=約100ページの構成となっている。出発~沖縄までは部分は風景描写が多く正直読んでいて退屈に感じた。やはり出航以前に調査した日本のことと幕府要人たちとの交渉記録が本書の白眉であろう。「たった4杯で夜も眠れず」と詠われたペリー艦隊であるが当初は12隻での来航を予定していたとのこと。アメリカ側も決して盤石ではなかったことが分かった。2019/09/24
hakodadi
0
函館の開港の端緒となったのがペリーとの間で締結された「日米和親条約」であった。ペリーは54年春に、新たに開港場に指定された箱館に検分に訪れている。ペリー艦隊の出発から 帰国までの全てを記録した大部の報告書(3巻)は、米国議会の予算で1856年に刊行され、世界中の反響をよんだ。本書は第一巻を全部収録した普及版。 箱館は23章と24章の一部で80ページを費やしている。函館港、函館山、寺院(称名寺?)、弁天の坂(船見坂?)、墓地など、市内随所の描画も多数収録されている。当時の箱館を知る上でも格好な史料。2010/04/20