内容説明
「噺家の修業はうしろに耳がついてなきゃいけないよ」昭和落語界の巨匠五代目古今亭志ん生を背中に負ぶって三年間、「師匠のためなら死んでもいい」二代目古今亭円菊が初めて語る名人との日々。出会いから別れまで二十年間、笑わせ、泣かせ、円菊節が冴えわたる。
目次
第1章 師匠はいつもこうなんだ(先に食われちゃう;腹いっぱい食べるんだよ ほか)
第2章 笑うと木戸銭とるぞ(本当の爆笑王;笑うと木戸銭とるぞ ほか)
第3章 そうか、みんな勝ったのか(お父ちゃんずるいよ;みんな勝ったのか ほか)
第4章 お前はもう大丈夫だから(早く帰ってコ;偉い海軍がきた ほか)
著者等紹介
古今亭円菊[ココンテイエンギク]
本名・藤原淑。1928(昭和3)年4月29日、静岡県島田市に生まれる。1953(昭和28)年7月、5代目古今亭志ん生に入門。前座名は生次。1957(昭和32)年3月、むかし家今松(6代目)と改名して二つ目。1966(昭和41)年9月、2代目古今亭円菊を襲名して真打昇進。出囃子は「武蔵名物」。落語協会理事。1981(昭和56)年厚生大臣賞受賞。1982(昭和57)年法務大臣賞受賞。1991(平成3)年東京都功労賞受賞。1996(平成8)年刑務所篤志面接理事となる。1975(昭和50)年に手話落語を創案、長年にわたり、全国老人ホームや刑務所の慰問、ボランティア活動などをつづけている。著書には『笑うが勝ち』(展転社)『どの花見てもきれいだな』(中央法規出版)がある
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感想・レビュー
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まさかず
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半身付随の師匠をおぶって寄席に送った弟子。手話落語を後にはじめた弟子。その人がどんな人だったか知りたくて読んだ。志ん生師匠も弟子圓菊さんも温かい。数々のエピソードは私利私欲のなさとお互いを信頼してるから見えることばかり。小さな優しさとお互いの想い。 無から有を生み出す 一種詐欺師のようなむなしさ この痛みに思いを寄せるからあったかいんだろう。 座布団の中に何かあるんだからみつけてこいよ 人と違うことをやれ ほんとに一人を肯定しなきゃ伝えられない言葉だと思います。2014/06/13
いづむ
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厳しいことで知られた円菊師匠。ご自身も若い時分に色々体験されていたのですね。志ん生師匠の稚気あふれる様子が伝わってくるし、師弟のつながりの深さを感じて胸が熱くなりました。円菊師匠の噺ももっと聞きたかったです。2013/07/01
慶多楼
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追悼読書。圓菊師匠の語り口を思い出しながら。数ある志ん生本のうちでも好きな一冊。2012/10/15