感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
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最近、渡辺崋山が好きである。寛政の三奇人と呼ばれる高山彦九郎と蒲生君平は右翼だし、林子平は侵略主義者だ。幕末の争いは右翼VS右翼だし、勝海舟や坂本龍馬のような優しい人でも、朝鮮や鬱陵島、蝦夷地を侵略計画している。その間にあって、尊皇でも攘夷でもない渡辺崋山のグローバルさは、今日もっともっと再評価されて良いと思う。画家としても素晴らしい(もちろん好みによりますが)。そして、「飢饉で1人死んだら殿様が殺めたも同然(大意)」と、主君に直言できる立派な家老でもある。そしてガラス細工のようなデリケートさ。好きだ。2023/06/20
sonohey
1
田原本。田原藩士であり画家でもあり、蛮社の獄ののち自刃した渡辺崋山(1793~1841)の伝記。当時の学問である儒教を根底としながら、西欧諸国の軍事力に脅威をおぼえ蘭学を学び(しかし蘭語は読めなかった)、天下国家を論じたがために死に至ったその生涯は敬服せずにはいられない。江戸出身であり、田舎の郷国田原にて奉職することを拒んだものの、田原を桃源郷のように描いている。崋山死後、田原藩は先進的な砲術や軍制(農兵新組、野戦筒組合)を誇り、崋山自身も開国や教育勅語など時流と相まり、郷土の偉人として親しまれている。2014/09/04