内容説明
バルザックにあった「始原の探偵小説」。探偵vs密偵という構図に、社会の暗黒をも照らすフランス探偵小説独自の原型を発見し、文学と探偵小説、並行しつつも分岐した歴史の深層を跨いで、その固有性と全体像を提示。作品構造と叙述コードの分析を踏まえた、通時性と原理論を併せもつ書下し探偵小説論1800枚!フランス探偵小説ベスト33、探偵映画ベスト33付。
目次
0 序論(快楽の仏蘭西探偵小説;探偵小説7つのコード ほか)
1 始原の探偵小説(バルザック探偵小説;マルチチュードの予感 ほか)
2 始原の第二幕 英仏海峡波高し(ガボリオから涙香へ;ヴェルヌ―青春の帝国主義 ほか)
3 絶対密室のほうへ(不可能犯罪とは一つの詩である;バルザックの赤い密室 ほか)
4 白耳義探偵小説のパサージュ(パサージュの向こう側;暗闇路地のジャン・レイ ほか)
5 純粋探偵小説を求めて(誰彼のロマン・ポリシェ;亡命者シムノン ほか)
6(フランス探偵小説ベスト33;フランス探偵映画ベスト33)
著者等紹介
野崎六助[ノザキロクスケ]
1947年東京都生まれ。作家、文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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フランスの探偵小説について、その前夜ともいうべきバルザックやゾラから論じはじめ、ルパン、シムノン、ボアロー&ナルスジャックなどを経て、ポール・アルテといった現代作家たちまで視野に収められている。 探偵小説だけに特化したというよりは、より広いフランス文学一般のなかに探偵小説を位置づけてみようという試みだ。 独自の理論を使って腑分けしていこうとするものの、邦訳/邦語文献しか使っていないのが問題だろう。フランス語文献を使っておらず、信じがたいが、これでちゃんとした評論ができると考えているのだろうか? 2023/09/14