内容説明
作品に結ばれる世界像の論理と構造の根柢をなす“認識風景”への問い。鏡花の“幻想”に、同時代の認識体系を拒絶して、現実から解き放たれた“非在”の領域において自律する魂への希求を見出し、その批評性を掬い出す。精緻な読解に支えられた鏡花論集。
目次
第1部 鏡花文学の起点(鏡花初期作品の執筆時期について―「白鬼女物語」を中心に;「義血〓血」の変容―紅葉改作をめぐって)
第2部 鏡花文学の世界図(泉鏡花と印度哲学の接点;“個的神話”への意志;「化鳥」“母なるもの”の原理 ほか)
第3部 作品の諸相(「春昼」記号のゆくえ;「婦系図」の背景―“静岡”という場所;「歌行燈」交響する“物語” ほか)
著者等紹介
松村友視[マツムラトモミ]
昭和26(1951)年生れ。慶應義塾大学文学部教授、同大学大学院文学研究科教授を経て、慶應義塾大学名誉教授。専攻は近代日本文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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