出版社内容情報
観念的な美か、作品そのものか、いずれか一方の領域において主張されてきた美学の言説を、二つの領域が混在する「不純なもの」としてラディカルに問い直す。ミメーシスという軛から解き放たれた芸術がなす「感性的なものの分有」の再編成から、芸術と政治のうちにある美学的関係の論理をうちたてる思考の集積。
《美学は、芸術を「何でもあり」にしたかどで告発され、また芸術を哲学的絶対や社会的革命といったあやしげな約束に迷い込ませたかどで告発されているのである。私の意図は美学を「擁護する」ことではなく、この語が意味することを明らかにするのを手助けすることであり、芸術の機能体制や言説の母胎として、そして芸術の固有性を同定する形式として、様々な形式による感性的経験のあいだにある関係を再配分するものとして、この語が意味するものを明らかにすることである。》(本書「序論」より)