感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
16
印刷された様々な言語・様々な字体の活字をデザインとして眺め、様々な言語・様々な字体の金属活字(父型)に物質として囲まれたいという欲望を掻き立てる。すべての言語のすべての字体・フォントを手元に置くということは、神の目を持つほどの全体性の象徴であるようにも思えた。また、活字には父型と母型があり、母型(凹)は父型(凸)を基に作られるが、いったん母型ができると父型を複製できるという関係も面白い。こちらも興味深いが入手困難か。→http://print.outotsusha.info/?eid=1#sequel2016/03/02
Roy
11
★★★★☆ フランスの活版印刷所の写真集。「書物は建築である」文頭のこの言葉から引き込まれ、その歴史、王の文字、世界各国の文字への対応、そして何より職人の緻密な技に感嘆した。文字の母たちのきっちりした土台があるからこその建築物(本)なのである。モノクロ写真も多く、その世界は《文字》と同じく静謐であり、固い。小川洋子「バタフライ和文タイプ事務所」の取り扱い説明書的本であった。2009/03/30
kinkin
8
活字、アルファベットと違い日本語の場合、ひとつの漢字だけでも大きさを含めるとすごい数になると思う。しかし、パソコン主流の今、活字の味わい深さは捨てがたいと思う。昔の文庫版は活字だったと思うと当時の文選工の素晴らしさを感じる。2014/07/26
gu
6
常日頃印刷された文字に囲まれているのにそれがどんな工程を経て目の前にやって来たのかをよく知らない。この本に収められているのは、パリ・フランス国立印刷所の、今はもう失われつつある活版印刷の技術や、それに携わる人々、「文字の母」である活字の母型、そして印刷された文字の歴史だ。ヒエログリフや漢字の母型まであるのに驚いた。それは西洋と外国語の接触の歴史でもあるという。どんなものにもそこに至るまでの来歴があること、それから言葉の物質性と身体性に気付かされた。2016/11/01
Hideki Ando
4
フランスの国立印刷所から日本の秀英体まで、活字と印刷をめぐる写真集。山のように積まれた活字が美しい。恥ずかしながらこの本で初めてコロタイプという印刷方法を知った。なんとなく音の響きもかわいらしいし、美しい印刷方法のように思った。2014/07/22