内容説明
ソローは森を出たあと、どんな人生を送ったのか?正義を貫くために戦いつづけた作家の、知られざる足跡を描く。
著者等紹介
ル・ロワ,マクシミリアン[ルロワ,マクシミリアン]
1985年、パリ生まれ。哲学者のミシェル・オンフレによる映画の台本『生成の無垢』をもとに『ニーチェ―自由を求めた生涯』(國分功一郎訳、ちくま学芸文庫)を刊行するなど、漫画家として活躍してきた
ダン,A.[ダン,A.] [Dan,A.]
1970年、トゥールーズ生まれ。生物学を長年にわたって学び、特にシカ、ムフロン、ノロなど野生動物の生活を研究した。その後、漫画家として、ロラン・ガランドンの原作で『タヒヤ・エル=ジャザイール(Tahya El‐Djaza〓r)』というアルジェリア戦争をめぐる2巻本の作品を出版
原正人[ハラマサト]
1974年静岡県生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科フランス文学専攻博士前期課程修了。翻訳者として、フランス語圏のマンガ「バンド・デシネ」を精力的に紹介している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イチイ
10
ソローの政治的な側面に焦点を当てた『森の生活』のマンガ化作品。素朴な自然主義者、非暴力の不服従主義者というイメージを持っていたが、暴力的な抵抗主義の擁護や進歩的でありながらも近代的なものを拒否するなど、ソローの思想はより多様で流動的だというのは重要な指摘だと思った。一方で、フェミニズムへの無関心への言及はあったが、火炙りにされながらも宣教師に拷問方法の提案をしたことを「高貴」と考えたエピソードのように「インディアン」への視線にはかなり危うい単純化があるように思われたが、この点に言及がないのは残念。2022/03/03
チェアー
7
ソローはアナキストだったのか。 そういう思想的な枠組みではとらえきれない思想家=実践家だったのだろう。 ソロ-と聞くと隠遁者というイメージがあったが、まったく違う。現実に関わりながら、弾かれた人、という印象だ。 ちゃんとソローを読んでみないと。2021/03/31
tsubomi
6
2020.12.17:八甲田の森の中のホテルにて読書。ソローというと森の中で暮らしていた変わった人くらいのイメージしかなかったのですが、予想外に社会活動家で博物学者でもあったんですね~。高校生のころにベトナム帰還兵がPTSDになって森に引きこもり、『森の生活』を愛読書にしているというドキュメンタリー映像を見せられて以来の私のソローの印象は久しぶりに更新されました。自然の中での自由な生活、奴隷制度に反対するための税金不払い、多様な民族の価値観を尊重する考えに共感を覚えました。彼の著書も読んでみたいです。2020/12/17
あつ子🌼
3
まえがきにあるように、『森の生活』という語感から、私もソローのことを"穏やかで無害な思想家"、"心やさしき夢想家"と思っていました。いやはや恥ずかしい。 闘う御仁でありましたね。「死ぬためにはまずきちんと生きなければ!」「多くの人たちが彼らを断罪していますが、それは彼らの数が少ないからです。しかしいったい、いつ正しく勇気のある人たちが多数を占めたことがあったでしょうか?」 …頬を張られる言葉ばかりです。2021/04/03