出版社内容情報
心療内科医の著者が、患者とともに紡いだ47のヒーリング・ストーリー。ひとつひとつの物語から、きっと見つかる「心が元気になる処方箋」。
人生に偶然の出会いはない(まえがきに代えて)
【春の章】子どもたちの内面の世界
●二歳児の心の傷●子どもの世界と大人の目●「あとで、あとで……」が、もたらしたこと●病んだ子どもとの交流●心のキャッチボール●「家族の輪」という束縛●食べない子は悪い子!?●チーズは草からできている●「患者のペース」とは何か?──挫折が光を放つとき
【夏の章】青年期の夢と挫折
●病が患者を救うとき●見えなくなって見えたもの●「ひそんでいるもの」に触れる目●甘えることと甘えさすこと●「母子一体」からの旅立ち●「沈黙」という言葉●愛情の代替品●からだの声を聞く●ひとりの死とひとりの再生●夏の終わりに──支え、支えられる出会い
【秋の章】人生のターニングポイント
●「なにもしない」ことの意味●父親の呪縛からの解放●幼年期の葛藤と中年危機●抑圧の代償を求めるとき●世代を超えた「反抗」●「もの」とのかかわり●食と健康を噛みしめる●飲酒というはけ口●失われる母性と心の危機●森のいのちと人のいのち●不安の裏返しとしての過剰な依存●死への不安に向き合うこと●黄昏のとき──触れ合いの癒し
【冬の章】「老い」の価値、「死」
病気は決して、マイナスなものではありません。
心療内科医の目から見ると、すべての病気は心身症の病態をもっています。
……私は心療内科医です。からだだけを診る医師ではありません。こころだけを診る医師でもありません。こころとからだが触れるところの病態を診断し、治療する医師です。いわばこころとからだを分けないで診るのです。病気そのものに焦点をあてるのではなく、病気をもち、悩み苦しんでいる「人」を診る医師だともいえるでしょう。
あなたはいま、どんな「人生の四季」を生きていますか?
本書は、人の人生を四季に見立て、人生という季節を、より善く生きることへの手引き書でもあります。
【春】心から認められ愛されているとき、子どもたちのいのちは開花し、躍動して独自の自己を発展させる。
【夏】青年時代の特権は、失敗やあやまちが許されることだろう。そのような体験こそ、人生の後半を豊かにしてくれる。
【秋】内面の世界が外界の世界よりも、果てしなく広く深いことを知ったものだけが成熟をとげ、やがて豊かな老年期をむかえることができる。
【冬】「なにかをすること」から「あること」に存在の重みが移る。「あること」のなかに人生の価値を見出だした者だけが、冬のなかにも春を、夏を、秋を、体験するのだ。