出版社内容情報
材料表面のコンディショニングのノウハウを網羅。
著者
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監修者
水町 浩 東京大学名誉教授
鳥羽山 満 職業能力開発総合大学校造形工学科教授
編集幹事
内藤 壽夫 内藤技術士事務所所長
編集委員(五十音順)
田中 丈之 (有)かきとう専務取締役
松永 孜 (財)化学・バイオつくば財団理事
柳原 榮一 神奈川県技術アドバイザー
序文
本書は,最近の表面分析と表面科学の急速な発展と表面処理技術の多様化を背景に,接着,
塗装,電子材料等の分野における表面・界面の研究成果を集大成したものである。さらに,伝統
的な下地処理技術を科学的に解明するとともに,先端的な表面改質の材料開発への応用を積
極的に推進することを目的とした。
なお下地処理に限定せず,接着,粘着,塗装,あるいは金属の表面処理の最新の技術につい
ても折り込むことができた。下地処理は,溶媒や化学薬品の使用比率が高い分野であり,この
改善も内外から強く迫られている。
21世紀は,ラ行で始まる言葉がキーワードになるといわれている。すなわち生産,使用量のレ
デュース(Reduce),可能な限りの製品のリユース(Reuse),あるいは資源,エネルギー有効利用
のリサイクル(Recycle),さらにこれにリペア(Repair),不要不急物や有害物のリジェクト
(Reject),製品のロングサービス化(Longer service life)なども加えることができる。世界的な規
模での環境問題や資源枯渇への意識の高まりは,このような状況に,情報の開示,環境との共
生と継続的な改善,また革新的な技術変革を迫っている。
本ハンドブックは上記の状況にこたえるため,学会,産業界の第一線の方々に全面的な書き下
ろしをはじめとするご協力を仰ぎ編集されたものである。その特徴は:
1)最新の技術,科学的知見の集大成,
2)環境への負荷低減,
3)時代の変革にこたえる技術的取組み,
4)最先端の応用を含み幅広い分野を網羅,
5)可能な限りノウハウにも踏み込んだ記述,
などにある。質の高い内容を多く盛り込み得たと自負しており,また本書が広く,長く,実際に役
立つことを切望している次第である。当該分野の研究者,技術者の座右の書となることを期待し
てやまない。
2000年1月7日
「表面処理技術ハンドブック -接着・塗装から電子材料まで」編集委員会
目 次
第1編基礎編
第1章21世紀のもの造りのキーワード
序
第1節無機材料…<柳田博明>
第2節有機材料----プラスチックのリサイクル設計…<上野晃史>
1.はじめに
2.日本における廃プラリサイクルの現状
3.廃プラからのエネルギー回収
4.廃プラの化学リサイクル
5.プラスチックリサイクルのための材料設計--DFD
第2章接着・粘着・塗装密着・コーティング技術と科学の最近の進歩
第1節接着
1.接着の実際…<大橋徹也>
2.接着の科学…<小野拡邦>
第2節粘着
1.粘着剤と粘着製品の最新技術…<地畑健吉>
2.粘着の科学…<土屋肇>
第3節塗装・コーティング
1.塗装・コーティングの実際…<吉田豊彦>
2.塗装・コーティングの科学…<坪田実>
第3章表面/界面のキャラクタリゼーション
第1節物理的手法
1.接触角…<かせ村知之>
2.SAICAS…<木嶋芳雄>
3.AFM…<西敏夫>
4.表面粗さの測定…<田中信行>
第2節機器分析的手法
1.総論…<三木哲郎>
2.ATR,FT-IR…<加川邦博>
3.SEM,TEM…<甲本忠史>
4.EPMA…<高倉優>
5.XPS,AES(Auger),SIMS,RBS…<黒崎和夫>
6.表面分析のための化学修飾法…<黒崎和夫>
7.全反射蛍光X線分析法…<宇高忠>
8.X線全反射を利用した表面構造の評価…<表和彦>
9.電子回折,RHEED…<堀尾吉已>
第4章表面/界面はどこまで解明されているか
第1節高分子
1.総論-高分子固体表面の分子運動特性…<梶山千里/高原淳>
2.接着と表面…<中前勝彦>
第2節金属(鋼板・亜鉛めっき鋼板・アルミニウム)…<前田重義>
1.清浄金属の表面構造
2.鉄の大気酸化と水分の吸着
3.実用材料の表面構造と表面特性
第3節ガラス・セラミックス・コンクリート
1.ガラス …<松本潔>
2.セラミックス…<阪井博明>
3.コンクリート
3.1コンクリートの表面特性 …<安藤哲也/安東敏弘 >
3.2コンクリートから発生するガス状物質の抑制方法…<田中勲>
第5章表面処理効果の評価
第1節表面処理効果の確認
1.有機材料…<小川俊夫>
2.無機材料<金子秀昭>
第2節表面処理欠陥の検出法
1.金属処理…<相沢謙治>
2.ポリマー…<田中丈之>
第3節表面処理効果の寿命(耐久性)
1.化成処理…<小泉宗栄>
2.ポリマー:塗料の耐久性…<田辺弘往>
3.プラズマ処理…<中前勝彦>
第6章接着力/付着力評価法
第1節接着…<柳原榮一>
1.はじめに
2.接着強さとは
3.接着強さの試験法
4.具体的な試験方法
5.その他の試験方法
6.試験機
第2節粘着特性試験法…<浦濱圭彬>
1.はじめに
2.粘着力
3.タック
4.保持力
5.巻戻し力
6.はく離性およびはく離力
第3節塗装…<田中丈之>
1.はじめに
2.塗装系における付着性
3.付着性試験法
4.おわりに
第7章表面処理技術の進歩
第1節接着・粘着
1.鉄鋼…<山辺秀敏>
2.アルミニウム合金(構造接着のための表面処理技術)…<宇佐見勉>
3.ガラス繊維…<伊藤晴康>
第2節塗装の前処理…<佐藤忠明>
1.はじめに
2.代表的塗装における前処理例
3.課題解決の試み
4.おわりに
第3節はく離技術
1.環境問題に対処した最近の塗料はく離剤と処理方法…<間宮富士雄>
2.高圧水洗によるはく離…<近藤照夫>
3.粘着はく離--粘着テープ・ラベル用はく離剤…<柴野富四>
4.脱接着…<井上雅雄>
5.レーザはく離--パルスレーザ照射による表面クリーニング…<Joerg Jetter/内藤壽夫訳>
第8章表面処理技術の方向と環境問題への対応
第1節法規制…<岡崎久>
1.はじめに
2.大気汚染防止法
3.オゾン層保護法
4.悪臭防止法
5.水質汚濁防止法
6.消防法・危険物の規制に関する政令等による規制
7.毒物および劇物取締法
8.労働安全衛生法
9.有機溶剤中毒予防規則
10.廃棄物の処理および清掃に関する法律
11.内分泌撹乱物質(環境ホルモン)について
12.ダイオキシン類対策特別措置法
13.PRTRとMSDSの法規制
第2節化学物質の安全性(PRTR)…<岸川浩一郎>
1.環境保全と化学物質
2.化学物質からの安全確保(リスクマネジメント)
3.化学物質固有の有害性
4.化学物質の有害性の評価,確認
5.化学物質とリスク利便性
6.新しい潮流,PRTR
第3節無溶剤化技術/水媒体技術…<本山卓彦>
1.はじめに
2.無溶剤コーティング
3.水性コーティング剤による処理
4.加熱による処理技術
第4節クローズドシステムと回収装置
1.リサイクル装置…<竹内一>
2.活性炭…<糸賀清>
第5節ライフサイクルアセスメント…<堀口誠>
1.はじめに
2.LCA手法
3.おわりに
第2編応用編
第1章処理方法
第1節機械的方法
1.洗浄(前処理,後処理)…<辻薦>
2.研磨/ブラスト
2.1精密研磨…<藤井健史>
2.2ブラスト…<青木茂>
3.廃棄物処理技術…<柏谷光昭>
第2節化学的方法
1.グラフト共重合…<井手文雄>
2.プライマー処理
2.1プラスチックのプライマー処理…<堀武>
2.2表面処理の実際…<柳原榮一>
2.3金属…<佐田利彦>
3.カップリング剤処理
3.1シラン…<山谷正明>
3.2チタネート…<田中祐之>
3.3アルミネート系…<田中祐之>
4.薬品処理
4.1プラスチックの表面処理…<柳原榮一>
4.2亜鉛フレークコーティング…<西川俊夫>
5.陽極酸化…<田尻桂介>
6.化成処理
6.1リン酸処理とクロメート…<前田重義>
6.2ゴムと金属の接着技術…<飯泉信吾>
7.めっき…<仲村太一>
第3節物理的方法
1.フレームプラズマ処理--米国の実例…<Joseph Di Giacomo/訳:江島顕>
2.オゾン処理/UV
2.1紫外線 …<菊池清>
2.2エキシマUV…<菱沼宣是>
3.コロナ処理…<村田重男>
4.電子線処理…<錦見敏朗>
5.レーザ処理…<矢部明>
6.イオン注入…<上條栄治>
7.スパッタリング…<田畑晴夫>
8.プラズマ処理
8.1プラズマ処理…<稲垣訓宏>
8.2大気圧プラズマ法…<小駒益弘>
9.安定パルスコロナ放電…<入山裕>
第2章被処理基材
第1節高分子--プラスチック,繊維,エラストマー
1.ポリオレフィン…<茂木靖浩>
2.繊維…<後藤徳樹>
3.汎用プラスチック…<中島常雄>
4.汎用エンプラの接着<柳原榮一>
5.スーパーエンプラ
5.1スーパーエンプラの種類…<高野菊雄>
5.2スーパーエンプラの表面処理の実際…<編集委員会>
6.エラストマー…<柳澤誠一>
7.粘着紙における表面処理技術…<塚田力/小西張夫/瀬口誠司/山崎由美>
8.炭素繊維…<小林正信/佐藤卓治>
第2節金属
1.鋼板/鋼材…<望月一雄>
2.アルミニウム材料…<海老原健>
3.ブラス--ブラスめっきの表面改質とゴムとの接着…<秋山節夫>
4.銅--電解銅箔…<間瀬一夫>
5.ステンレス…<山辺秀敏>
6.チタン
6.1チタンの特性と表面処理…<西村孝>
6.2チタン表面処理の実際…<編集委員会>
第3節無機材料
1.ガラス…<西村啓道>
2.セラミックス…<阪井博明>
3.コンクリートの表面処理…<本橋健司>
4.粉体
4.1顔料…<入山裕>
4.2カーボンブラック…<井原辰彦>
4.3シランカップリング剤 による無機粉体の表面改質…<永田員也>
4.4粉体の乾式表面処理…<小石眞純>
第3章応用分野と事例
第1節建築/土木
1.建築関係…<近藤照夫>
2.土木関係…<守屋進>
第2節輸送機器
1.自転車…<山木英数>
2.自動車
2.1自動車用プラスチック材料の表面処理…<浅輪達治>
2.2自動車の腐食と防食技術…<佐藤登>
2.3塗料(耐候性)…<名倉修>
3.鉄道
3.1車両…<鈴木靖昭>
3.2鉄道設備…<桐村勝也>
4.航空/宇宙(ロケット本体,ステーション)…<高田幸路>
5.船舶--造船工業における表面処理…<平井靖男>
第3節電機/電子
1.電気機器における接着と表面…<原賀康介>
2.AV機器
2.1光ディスク…<大平博之>
2.2テープ…<坪田実>
3.情報通信…<村田則夫>
4.半導体/電子部品
4.1半導体…<畑田賢造>
4.2プリント配線板…<豊永実>
4.3一般電子部品…<編集委員会>
5.光関連技術(光受動機能素子)…<西澤紘一>
第4節印刷…<高橋富雄>
1.はじめに
2.薄紙
3.チタン紙
4.プラスチック(シート)
5.一般印刷
6.おわりに
第5節医療
1.医用材料表面…<筏義人>
2.歯科用接着剤と表面…<中林宣男>
第6節産業資材(鋼/繊維/複合材料)
1.FRP・FRTP(繊維強化プラスチック)…<野村学>
2.FRR(ゴム系複合材料)…<内藤壽夫>
3.繊維…<渡邊博佐>
第7節木製家具塗装…<西條博之>
1.はじめに
2.家具の素材
3.木製品塗装の特徴
4.塗装の前処理
5.素地調整
6.着色
7.捨塗り
8.目止め(目止め着色)
9.下塗り
10.中塗り
11.補色
12.上塗りと磨きつや出し仕上げ
13.塗装仕上げの種類
第8節食品包装・容器
1.紙の包装(紙容器)…<土屋博隆>
2.プラスチック包装・容器…<葛良忠彦>
第9節スポーツ
1.ゴルフ用品…<冨田誠介>
2.ウィンタースポーツ用品
2.1スキー,スキーワックス,スケート,スケートリンク,そり,その他…<対馬勝年>
2.2スキー滑走面の材質と処理…<松田秀喜>
第10節楽器
1.金属製楽器…<角浩一郎/山嶺茂>
2.木製楽器…<大隈久芳>
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- 和書
- 高峰秀子の言葉 文春文庫