内容説明
東海村臨界事故の被曝医療に自らも参加した著者は、放射線の発見から原子力エネルギーの利用に至る歴史、放射線防護の考え方などを平易な言葉で解説しながらも、東海村臨界事故の遠因が、わが国の原子力開発がアメリカからの工学的技術導入に偏り、保健部門の整備が伴っていなかったことにあることを鋭く指摘する。好むと好まざるにかかわらず電力の33%を原子力発電に依存しているわが国の現実を直視して、原子力に変わる代替エネルギーが確保されるその時まで、私たちが「放射線といかに付き合うか」を教えてくれるやさしい読み物である。
目次
第1章 放射線の源流(放射線の発見;核物理学の始まり)
第2章 巨大エネルギーの利用(核分裂の発見と巨大エネルギーの解放;マンハッタン・プロジェクト ほか)
第3章 放射線防護体系の淵源(放射線障害の経験;アーサー・コンプトンの精神 ほか)
第4章 放射線といかに付き合うか(線量規制の始まりと展開;放射線事故 ほか)
著者等紹介
衣笠達也[キヌガサタツヤ]
1947年生まれ。’73年神戸大学医学部卒業。’79年神戸大学大学院医学研究科(外科系専攻)修了、医学博士。兵庫県立がんセンター、三菱神戸病院勤務。’85~86年ピッツバーグ大学、カールスルーエ原子力研究所に被曝時緊急医療研究のため留学。現在、三菱神戸病院外科医長、衛生放射線管理課医長、放射線医学総合研究所緊急被曝医療ネットワーク会議委員、原子力安全研究協会被曝医療支援専門委員会副委員長、原子力安全委員会緊急時医療検討ワーキンググループ委員
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