海外ライブラリー<br> 少年十字軍

海外ライブラリー
少年十字軍

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  • サイズ B6判/ページ数 174p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784900456594
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

「主なる神よ、まことの十字架を還したまえ!」無垢の者の聖なる魂と祈り。フランスの天才作家の珠玉作品を名訳で贈る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

103
退廃美と寓話に満ちた短篇集。皆川博子さんの『辺境図書館』の紹介がきっかけで知りました。『オイディプス』を彷彿とさせる「黄金仮面の王」。しかし、『オイディプス』と違うのは王は虚偽を盲目になったからこそ真実を見続ける覚悟をしたこと。それだから全てが許されたのでしょう。黙示録が舞台となった「大地大炎上」ですが、ラストが救い。「ペスト」は『赤死病の仮面』や『アメリカン・ゴッズ』を連想したり。心無いとしても一度、認識し、そのふりをしたら事実として成就してしまうことの畏怖性をまざまざと感じさせる作品でした。2017/06/27

ケイ

52
癩病やペストなど恐ろしいものを忌み嫌う恐怖や集団ヒステリーに触れながら、救われない者達や救いとは何かを描いているのだろうか。無垢と無知はフランス語では同じ言葉だ。どの短編も深い意味を含んでいるが、際立つのは表題作の少年十字軍。天命を受けたと信じるイノセントな少年達、彼らは目的地に行けずに戻ってきたり、途中で売られたりした。無知で無垢ゆえに進めた行為だが、神は彼らに手を差し伸べたのだろうか。前編に漂う神の否定感は、解説で彼がユダヤ人だと知ってカトリックへの批判が生み出したものかとも思える。2014/03/13

安南

27
煌めく宝石や鉱物が己の来歴を語り出したらこのような物語になるのではないか。耽美な詩情に溢れている。『大地炎上』読友さんの感想からロダン「接吻」をイメージして読む。この短編の献辞がポール クローデルだと気づきゾクリとした。ポールの最愛の姉であるカミーユはロダンの愛人で「接吻」のモデルとも言われている。『081号列車』すれ違う列車の中に自分のドッペルゲンガーが。このイメージは辻原登が多用していた。例えば『十三月』など。表題や『黄金仮面の王』もよいが『眠れる都市』とロセッティをモデルにした『リリス』が好み。2014/08/25

H2A

23
美醜混ざり合った異様なイメージ喚起と、絢爛たる色彩感は眩いばかり。作品はそれぞれ素晴らしく、まぎれもなく個性的で今まで読んでなかったのを後悔する。『大地炎上』で世界終末の中で愛し合う少年少女の姿がとりわけ鮮烈だが、『リリス』『黄金仮面の王』『少年十字軍』『〇八一号列車』も(荘重な名訳の力も強く後押しして)最高の読みものである。というより外れが皆無な稀有な作品集だった。これは外国文学好きなら読むべき一冊。2013/12/10

三柴ゆよし

19
シュウォッブの翻訳を手がけた人は何人もいるが、完璧な散文詩のようなこの小品世界を訳すのに、自身も詩人であり、またユルスナールの翻訳者でもある多田智満子以上の適者はいないだろう。絶品の訳文である。「卵物語」以外の収録作品は国書刊行会から出ている『黄金仮面の王』と重複するが、この香気あふるる文章を読んでおいて損はしない。たんなる頽廃に留まらない美しい物語「黄金仮面の王」、ロマンチックすぎる世界の終わり「大地炎上」、シュウォッブには珍しい(?)ユーモラスな寓話「卵物語」などが特に良い。2011/12/29

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