内容説明
いまのことば感覚を生かした詩人の画期的訳し下ろし。単行本初めてのキャロル自作挿絵37点すべて収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
74
『アリス・オンパレード』第20弾。サイズはタテ19.5cm、ヨコ13.5cm。王国社刊。訳者は北村太郎。訳文は集英社文庫版とまったく同じ。集英社文庫の初版が1992年で、こちらが1996年だから、あきらかに集英社文庫からの転用。すなわち、意識的、自覚的に格調の高さを捨てることで「子どもことばの口語体」で語られた訳文だ。さすがにまったく同じではまずいと思ったか、挿絵はお馴染みのテニエルのものではなく、どういうわけかルイス・キャロル自身のオリジナルを用いている。「地下の国のアリス」のものだ。2013/10/10
吉田あや
72
「つんと澄ましたアリスに我慢ならず、おばさん型の語り口を排除した」との帯の文言に薄っすらと不安を感じながらも読み進めてみると…。矢張りキャロルがこの本で構築しようとした世界を捉えていない、表面だけの世界で翻訳されたことに少なからずショックを受けた。現代風に読み易く翻訳をするということはとてもチャレンジングで素晴らしいことだと思うけれど、言葉を安易に現代風に置き換えるだけでは、時間を少し経ただけで古びた物語となり、物語としての良さが加速的に消えてしまう。(⇒)2020/04/29
ニョンブーチョッパー
5
★★★☆☆ 訳者が詩人の方とのことで今までに読んだ別訳の同書と比べて詩っぽい文章でした。20年以上前の訳なのに言葉がわりと今風で古さをあまり感じなかった。ハンプティ・ダンプティはいつ出てくるのかなと待っていたけれど出てこず。『鏡の国』の方でしたね。テニエルの挿絵のほうが有名なような気がするけれど、キャロル自身の挿絵という点が貴重かも。2019/07/19