内容説明
若くして一女性と拳銃心中を遂げたドイツ・ロマン派の先鋭クライストの代表的作品を種村季弘の名訳で織り上げる。技巧を凝らした完璧な文体の彼方に誰しも震撼せしめる悲劇の様々な貌が造られ、やがて心をカタルシスへと誘う。珠玉の短篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソングライン
14
未婚の妊娠というただ一つの過ちから、離れ離れになった恋人たち、修道院での出産というスキャンダルにより、まさに死刑執行がおこなわれる寸前におこる大地震、再び再会がかなう二人、しかしその後におこる理不尽な悲劇に声も出ない「チリの地震」。若い寡婦リッテガルデにかけられた密会の疑惑を晴らすために決闘を挑む侍従長フリードリヒ、無残にも決闘に敗れるが、そこには神の深謀が隠されていた「決闘」。神はいないのか、異様な虚無感に引き込まれる短編集です。2021/05/30
きゅー
14
クライスト本人が破滅へと突き進んだ人生を生きたように、ここに登場する人物もみな奈落へのくだり道をひたすらに駆けているようだ。読者にはページをめくるまでもなく悲劇が訪れることを分かっている。しかしそれがどのようにして起きるのかといえば、運命というよりは激烈な人間の感情に突き動かされたがゆえのことだと知る。これらの短篇にはとてつもない緊密なドラマ性に加えて、人間の善意と悪意の驚くべき混合が見られる。地獄は他人であり、自分だ。『こわれがめ』が有名だが、この短篇集のほうがはるかに素晴らしい読み応えだった。2015/06/01
takao
3
ふむ2024/04/13
borug
3
短編とエッセイ。カフカが好んで読んでいた作家ということで読んでみた。映画『ファイナルデスティネーション』のような、運命か呪いからは逃れられない人々。神も仏もないといった感じ。2015/02/08
葛井 基
0
感想がうまくまとめらない。これはやはり人間の愚かさと人間の真実との相克だろうか。2017/06/15