内容説明
教育の分野においても民族や文化を学習内容や方法にどのように反映させていくかといったことが、国際的に大きく問われるようになった。これが「多文化教育」と呼ばれるものである。本書はこの「多文化教育」の内容を紹介するとともに、その中でもとりわけ課題となっている諸点を指摘することを目的に書かれたものである。
目次
第1章 新時代への教育環境の変化
第2章 多文化主義と多文化教育
第3章 他民族国家と教育―多文化教育の視点から(北米地域の多文化教育;中国における少数民族教育)
第4章 「民族」をめぐる日本の状況(過去の政策からみた日本と民族の問題;日本の教育をとりまく異文化)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有智 麻耶
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20年近く前の多文化教育に関するブックレット。内容は多文化主義や多文化教育の意味、各国の実践の紹介、日本特有の文脈の三つであり、特に日本に関する記述は参考になった。異文化に対して分離、排外主義に陥りやすい日本は、このままでは間違いなく世界から孤立していく。また、少子高齢社会を迎え人口減少を続けている今、国際的な競争力も低下していくだろう。多様な文化を受け入れて新たな「日本」を創造していくか、民族意識の殻に閉じこもり緩やかに貧しくなっていくか、その瀬戸際で改めて多文化主義は真剣に議論されるべきであろう。2017/05/02