内容説明
時の終わりに向かうスペース・オデッセイ。アップダイクのソフトSF。
著者等紹介
アップダイク,ジョン[アップダイク,ジョン][Updike,John]
1932年ペンシルヴェニア州シリングトン生まれ。ハーバード大学を最高優等賞にて卒業後、画家を志しイギリスのオックスフォード大学ラスキン・スクールで美術を専攻。帰国後、1955年から57年まで、ニューヨーカー誌のスタッフとなり、書評や短編、エッセイ、詩を寄稿する。1960年『走れウサギ』により、作家としての地位を確立してからは長年にわたりアメリカ文学界に独自の地歩を占める。小説のほか、詩、批評、エッセイ、回顧録など著書多数
風間賢二[カザマケンジ]
評論家・翻訳家。1953年東京生まれ。1997年『ホラー小説大全』(角川選書)で第51回日本推理作家協会賞受賞
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感想・レビュー
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ノブヲ
16
原題「TOWARD THE END OF TIME」。ボストンの金融界を引退したベンと妻グロリアの老夫婦。冒頭初雪が音もなく降り積もる様子を、彼らの静謐ともいえる生活になぞらえる美しい書き出し。しかしここは二つの月が夜空に浮かぶ近未来。2020年。第二の月は人類がカタストロフ以前に打ち上げた宇宙ステーションだ。時折、示唆に富んだ哲学的な心象スケッチが挿し込まれ、それが作品全体のピーンと糸の張ったような静けさに独特の緩急を与えている。老成した作品というのは、時としてひどく退屈だが、ここにその気配はない。2024/02/23