内容説明
言論誌『表現者クライテリオン』表現者・奨励賞受賞者による「不安」の中で生きる日本人への指針。13の文学作品から現代人が忘れてしまった「故郷=日本」の愛し方の痕跡を辿り、現代人が感じる「居心地の悪さ」や「生きにくさ」の原因を探り出す。
目次
計算尺を探して―ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』を読む
記憶なき場所に故郷を探す―小林勝の「フォード・一九二七年」を読む
帰らなかった日本人妻たち―上坂冬子の『慶州ナザレ園―忘れられた日本人妻たち』を読む
伝統の価値―石村博子の『たった独りの引き揚げ隊』を読む
辿りつけない故郷と日本への憎悪―引揚げ者たちの語りを読む
待つことが目的と化した人生の行方―サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を読む
生命の誕生という「保証のない旅」―金原ひとみの『マザーズ』を読む
不安という原動力―フランツ・カフカの「巣穴」を読む
愛という不都合な荷物―ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』を読む
光と闇の二元論を超えて―村上春樹の『アンダーグラウンド』を読む〔ほか〕
著者等紹介
仁平千香子[ニヘイチカコ]
1985年生まれ。福島県出身。東京女子大学を卒業後、オーストラリアにて修士課程(ウーロンゴン大学)と博士課程(シドニー大学)を取得。元山口大学講師。平成31年度表現者クライテリオン奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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