内容説明
宮中での歴首恒例の元旦四方拝はいつどのような経緯で成立し、時代の推移とともに変容したのだろうか。四方拝の格段の所作にみられる史的要素を個別に考察しつつ、起源とされる皇極紀の意義を検討する。観象授時権の形成発展がみられる天武・持統紀の天皇祭祀における先帝意識・祭祀・忌日を検討することで、年中行事発生の根源的事象の一隅を照らすことを試みた。
目次
第1章 元旦四方拝の祭儀構成に関する継続と変容(古代の信仰と祭儀;成立説の史的展開;近世以降の四方拝;明治初年の四方拝祭儀の改廃について)
第2章 『内裏儀式』と『日本書紀』(藤原京跡呪符木簡と元旦四方拝の成立;持続・文武朝の山陵祭祀と国忌)
第3章 皇極紀における神と災異(皇極紀と讖緯思想―童謡および災異について;古代の神と虫―常世神の神性について)
第4章 暦日意識の発生と宮廷儀礼(暦と観象授時権の成立;神道説と『五行大義』;国忌の成立と省除)
第5章 天武・持統朝の祭祀と神話化(皇極朝と天武朝の祈雨について―天武朝の四方観と祭祀・行事;「御諸山の上に坐す神」と古代三輪山信仰;『日本書紀』の女帝と皇祖神)
著者等紹介
渡辺瑞穂子[ワタナベミホコ]
昭和51年神奈川県横浜市に生まれる。平成12年早稲田大学法学部卒業。平成22年國學院大学大学院文学研究科単位取得退学。平成23年國學院大学大学院文学研究科課程博士取得(神道学)。自然科学研究機構国立天文台共同研究員、國學院大学特別研究員を経て、平成26年より國學院大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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