内容説明
史上唯一の脱藩大名・林忠崇。彼は幕末から明治、大正、昭和をいかにして疾走したのか。戊辰戦争で新政府軍と戦い敗れた後も、死すべき命を長らえた忠崇は、官吏、商家の番頭、神主など職を転々とし、大東亜戦争勃発直前まで生きた。「最後の大名」の数奇な生涯を描く。
目次
第1章 鳥羽伏見戦争に間に合わず
第2章 「一文字大名」の誇りの下に
第3章 脱藩大名の戊辰戦争
第4章 奥羽越列藩同盟に参加して
第5章 流転と窮乏の歳月
第6章 林家の家格再興運動
第7章 最後の大名、昭和に死す
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年、栃木県生まれ。東北大学文学部卒業。73年から91年まで文藝春秋に編集者として勤務。その後、作家としての執筆活動に専念する。94年に『二つの山河』で直木賞を受賞。主に、歴史小説・時代小説を中心に執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプリント
8
徳川家に忠義を尽くし藩ごと脱藩した林忠崇の波乱の生涯について書かれています。日本各地を転戦し流浪する遊撃隊のパートと明治維新後に名誉を回復するまでのパートに分かれています。2019/11/03
Masaki Maruyama
0
今年4月、千葉県木更津市で「真武根陣屋遺址」の顕彰碑が再建披露された。取材に行くと、作家の中村彰彦さんがいてびっくり! そうと知っていれば著作の1冊も持ってきてサインしてもらえたのに…。事情はあるにせよ、木更津市の広報下手が丸出しな出来事だった。「真武根陣屋」最後の主だった請西藩主林忠崇は戊辰戦争の際、領民や慶喜公に迷惑をかけぬよう脱藩して旧幕府側で戦った唯一の大名。「一文字大名」としての誇りで徳川家への忠義を貫き、貫いたが故の後の苦難や、忠崇の名誉回復に奔走した旧臣の奮闘ぶりは胸が詰まる思いがする。2023/07/09