出版社内容情報
愛し方も
死に方も、
私のもの。
美しく残酷な運命の恋物語が、
時代を超えて、
私たちの心を強く揺さぶる。
江戸時代、元禄期の大坂で実際に起きた心中事件をもとに近松門左衛門が書いた“心中もの”の傑作を、直木賞作家・角田光代が遊女「初」の視点で現代に蘇らせた!
あらがい難き究極の恋の、
高揚、悦び、懊悩、切迫……
近松門左衛門の原作の世界を踏襲しながら、
あらゆる感情を細やかな心理描写で描き切り、
新た
【目次】
内容説明
あらがい難き究極の恋の、高揚、悦び、懊悩、切迫…近松門左衛門の原作の世界を踏襲しながら、あらゆる感情を細やかな心理描写で描き切り、新たな物語として昇華させた、角田光代による小説『曾根崎心中』。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mike
82
「国宝」に登場したこの悲恋の物語。初めて読んだが角田さんの翻訳が見事でとても読みやすく、クライマックスは映画のあのシーンが蘇る。叶わぬ恋に身を焦がした者は、来世で逢うことを信じ、こういう形で互いの永遠の愛を誓うしかなかったのかな。忘れていたけど、これは実話が基だったんだよね。当時、心中が美化されてブームになったってのも何だか分かる気がするな。ところであの偽判事件だけど、果たして嘘をついていたのは本当に九平次だったのか?それともお初の胸をよぎったように徳兵衛だったのか…?2026/05/27
しいたけ
70
遊女「初」が恋を知る。清くて健気で、愚かで醜い。遊女の日常のおかしみや物悲しさが胸に迫る。これを読んだら、お嬢ちゃんの初恋の物語なぞ甘ったるいだけの本はもう読めない。蝉が空を知ってからの短い世界を必死で生きているかのようだ。美しく鬼気迫る言葉は皮膚から沁みてくる。圧倒された。2026/01/20
maxa
36
近松門左衛門の曽根崎心中を角田さんが翻案したもの。原作を知らないけれど、角田さんの曽根崎心中に心底心掴まれてしまった。好きな男と共に命を終えることを選んだ遊女。初めて逢ったその瞬間から運命の相手とわかるような出会いを経ても、つまらないことで疑心暗鬼になってしまう恋心。命は一度きりなのかそれとも運命の相手とは来世でも出逢えるのか。恋を知ってしまった幾多の遊女たちの様々な生き様をなぞらえながら、そこに突き進んでいく心境が美しく激しく描かれていく。国宝のあのシーンをもう一度観たくなった。全然わかってなかったよ。2026/05/09
buuupuuu
23
心中が、不幸の果てではなく、生の意味の完成や、純粋性の極致として描かれているように思える。社会や世間とは、基本的に、悪意のある関係に溢れていて、善意がある場合でも、生の意味を損ない、純粋性を汚すようなものであるように見える。心中こそが、その腐食から二人の関係を守り、現在の瞬間を絶対化する行為なのだ。だが、そのように生きようとしても、初の先輩たちは皆裏切られ、恋に破れていく。それと比べると、初と徳兵衛の心中が成就したことは、ほぼ僥倖に近い。最後の場面は、意味の充溢の強烈な体験として感じられる。2026/02/08
楽駿
22
品川図書館本。映画『国宝』から始まって、映画『曽根崎心中』、歌舞伎シネマの『曾根崎心中』と堪能して、この本を読み友さんに教えていただいた。人としての、恋への盲目、完全に信じ切ったつもりの中の惑い。吉行淳之介氏の『驟雨』と言う作品を思い出した。本気にならなければ、相手を見下していることができるのならば、仕事であっても、苦しくならずに済んでいたのに、けれど、本気になってしまったと同時に訪れる地獄。この結末は、幸せなのか、不幸せなのか。今も、憧れ、訪れる人の多いお初天神。私も行った。改めて行きたい。感じたい。2026/04/28




