出版社内容情報
人間の作った小さな場所では
言葉はときどき、信じることが
震えてくるほど難しい。
想像もつかなかった光景を見て
何も持たずに逃げてきたあなたを
下ろした両手は抱きしめる。
(巻頭詩より)
軽やかに言葉と遊び、現実を深く見つめる
人気の詩人・大崎清夏。
『地面』、『指差すことができない』(中原中也賞受賞)、
『新しい住みか』、『踊る自由』に次ぐ、待望の第五詩集!
自分の手で作ること、描くこと。
辞書にない私の言葉を持って生きること。
戦争も災害もある今を生きている私たちが
口ずさむと力になる、歌のような詩。
(私の生活はこっちだ、)と標になる31篇。
帯の推薦コメント:
わたしの中に詩の種が蒔かれ
日常に言葉の風が吹き始める (写真家・植本一子)
詩的散文+小説集『目をあけてごらん、離陸するから』でも
多くの読者の心を掴んだ詩人による最新作。
内容説明
中原中也賞受賞の詩人、待望の第5詩集。あなた自身の標になる詩、31篇。
目次
暗闇に手をひらく(始まる日;あとに残らないものを作る ほか)
七月音頭と鹿(棚田とはぜの木;餘家さんと藤本さんの話 ほか)
明るいところを歩く(ある庭で;蝶の夢 ほか)
私は思い描く(私は思い描く)
著者等紹介
大崎清夏[オオサキサヤカ]
1982年、神奈川県生まれ。2011年、ユリイカの新人としてデビュー。詩集『指差すことができない』で中原中也賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yuna☆
4
窓の外で濡れる桜と、春の静かな雨音を聞きながら。 2025/04/13
u
2
新しい詩集を買うのは勇気のいることですが、「あとに残らないものを作る」がとても良くて、この詩のためだけでも買おうと思えました。「私たち自身はあとには残らない/美について夜どおし語りあう声や/長いくちづけの隙間から溢れる息/隣の窓から漏れ聞こえてくる喧嘩/自転車がはこんでゆく鼻歌/そういうものと同じように/私たちは消えることができるはず」生きること、生活することへの前向きな決意があり、ともに生きる匿名の人々への思いやりも感じられます。山の自然が瑞々しく感じられる詩や、「私は思い描く」もとてもよかった。2025/01/19
くり
1
家族がいない夜にひとり。猫に聞いてもらいながら読み上げてみた。人の所作が、自然の姿が、ありのままに優しく表現されていてとても心が揺さぶられる。プロローグ?の文章が好き。2025/03/17