内容説明
初恋の人の記憶を辿る旅を続ける老婦人。夫の暴力から逃れて、沖縄へ舞い戻ってきた和江と息子・マサシ。新たな生き方を求めて動き出そうとする人々。戦争の傷跡をなでるように、それぞれの心に風音が鳴り響く。風の音が聴こえますか、人には魂があることを信じますか。芥川賞作家・目取真俊、初の長篇小説。
著者等紹介
目取真俊[メドルマシュン]
1960年(昭和35)年、沖縄県生まれ。琉球大学法文学部卒業。97年、『水滴』(文芸春秋)が第27回九州芸術祭文学賞受賞ののち、第117回芥川賞を受賞する。2000年、『魂込め(まぶいぐみ)』(朝日新聞社)で第4回木山捷平文学賞、第26回川端康成文学賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
84
戦後の沖縄の話。映画化された脚本の小説化らしい。最後そういう終わり方かぁとも思いますがよかったです。水滴はまだ未読なんでそっちの方も読まねば・・・。2017/05/05
翔亀
42
【沖縄62】この作家の「群蝶の木」のただ事ではない世界に驚愕して本作へ。自らの短編をもとに脚本を書き映画化(東陽一監督)されたものを自らノベライズしたもの。映画は未見だが、この種のメディアミックスはこの作家には似合わないではないかと思ったが、なかなかどうして、小説として確固たる世界を提示している。沖縄戦という今なお心深く残っている傷跡を抱える島の人々と、東京へ出てDV被害で帰郷した母子、それに沖縄戦へ特攻隊員として向かった従兄の痕跡を探す旅で来た死期の迫った年老いた女性が出会う。沖縄戦の極めて悲惨で↓2022/01/24
かおりんご
22
小説。初読み作家さん。沖縄関係の本で知り、手にする。舞台は戦後の沖縄。戦時中、とある特攻隊員が風葬されたことを中心に話が進む。義理の父親の暴力から逃げ帰ってきたマサシと母、近所に住む父子家庭のアキラとおじい、そして特攻で亡くなった従兄弟を探す藤野。様々な立場の人たちの思いや沖縄の独特の風土が相まって、読みごたえがありました。あー、沖縄に行きたい。2021/12/10
kan
19
先日読んだ馳星周著「美ら海、血の海」の中で、沖縄で風葬された亡骸の頭蓋骨を通り抜ける風の音の描写があり、こちらの本を知った。全体を通して流れる美しく静かで悲しい情景の中、子ども達の生き生きとしたやり取りが光る。苦しみや未練や後悔を抱えながら生きる人々の、不器用な優しさが沖縄の風と共にふわりと届いてくるようで、映画を観ているようだった、と思ったら映画のノベライズ版だった。多数の登場人物のそれぞれの背景が示唆的で、沖縄の人の優しさの裏にある悲しみと歴史を思う。勤務校図書館に本書があるのは意義深い。2024/09/26
マッピー
16
義理の父親の暴力から逃れるため、母の故郷である沖縄に母と越してきたマサシ。近所に住む2つ年上のアキラ達と一緒に釣った魚を、風葬場にある骸骨のそばに置いた。沖縄戦が残した傷が、まだ沖縄には癒えることなく残されている。当時を知る人たちが敢えて語りたがらないこと、忘れたいこと。そのまま風化させていいのか。語り継ぐには残された時間はあまりに短い。しかし、当時を知らず、今、偏見もなく付き合える子どもたち。沖縄の未来を作るのはこの子どもたちなのだ。そんなことを静かに語る本作。かすかな風と熱を傍らに感じながら読んだ。2021/02/15
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