内容説明
天正遺欧少年使節の千々石ミゲルはキリシタンを棄教して歴史上から消えた。そのミゲルの後日物語である。ミゲルは清左衛門と名をかえて、大村藩の大村喜前に仕えてキリシタンを捕らえる頭となるが、神父への道を志したこともあるミゲルはいさぎよしとしない。それが原因で喜前と仲違いをしてしまう。それからは、生涯、喜前の家臣から追われるようになる。ミゲルは、修行僧に身をやつして、ある時は茶の仲買人として、ある時は潜伏した、キリシタンの人達に情報を伝え、また生きていくための勇気を与えながら、隠れるように巡礼してまわり、雪の降りしきる背振山中に消えるように生涯を閉じていく。