読み聞かせの本シリーズ
十三湖のばば

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  • サイズ B5判/ページ数 155p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784897774145
  • NDC分類 K913
  • Cコード C8393

内容説明

「十三湖のばば」は、1974年に(株)偕成社から出版され、たいへん高い評価を得るとともに広く購読された名作です。青森県の津軽半島にある十三湖が舞台です。腰切り田といわれる深い泥田に生きるばばは、男5人、女6人、計11人の子を設けるものの、赤児が溝に沈んで、長女が田んぼで、次男が水車で、夫も不慮の事故で、長男も戦争で次々と死にます。直面する死を克明に描くことで、大正から昭和の時代の津軽を直視します。1925年に青森に生まれた著者は、自身の体験と事実を取材することで、ばばの津軽弁を通して、読者に真実を語ります。今、飽食の時代、グルメの時代であればこそ、わずか三世代前に、現に日本にあった事実をキッチリと受けとめたいものです。

著者等紹介

鈴木喜代春[スズキキヨハル]
1925年、青森県に生まれる。青森師範学校卒業。千葉県の小・中学校に38年間勤務。現在は創作に専念する。日本児童文学者協会会員。元、日本子どもの本研究会会長。主な著書に『津軽の山歌物語』(日本児童文芸家協会賞)などがある

山口晴温[ヤマグチセイオン]
1926年、青森市に生まれる。日本板画院同員。戦後、雑誌「むつの子」の編集に参加以来、児童文化活動を続け、木版画を主に童画、挿絵制作。青森市在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はる

59
津軽半島、十三湖のほとりに住むひとりのおばあさん。80を超えた彼女が語るのは、大正の初めから太平洋戦争が終わるまでの家族の物語。寒村の厳しい暮らしと、死んでいった子供たち…。今では考えられないほど辛い農民たちの日々の暮らし。子供の扱いも酷いが、当時はそれが当たり前。そうでもしなければ生きていけなかった。戦争で子供を失った母の心の叫びが胸に響く。津軽弁の語り口が出色。今の時代では描けない骨太の児童書。2020/01/29

ふじ

6
題名を見た時は昔の農村の暮らしを紹介する絵本かな?と思いきや、たくさん生んだ子供も夫もホラーもかくやの勢いで次から次へばたばた死んでいく……つまりそれが”昔の農村の暮らし”だったってことか/「ワクチンも農薬もなかった昔の暮らしは平和で豊かだった」なんてとんだ妄想もいいところですね/ちょうど50年前の作品ですが、農家いじめは今も変わらず、供出だの増産だの減産だの、不穏な話がどんどん増えてきていますよ……2024/06/19

エル

4
戦前、十三湖のほとりで百姓をしながら11人の子どもを産んだばばが話してくれるのは貧しさで次々と死んでいった子どもたちの話。わずか3世代前はなんと過酷だったのだろう。体調が悪くても田んぼが命、飢饉、洪水、時代もあっただろう。挙句に死んだ子どもたちをイタコに降ろしてもらったら地獄に落ちて、地獄に帰っていくところがまた救いがなさすぎる。でも3世代前はこれが普通だったのだろう。なんと悲しいことか。2024/04/21

スゲ子

4
十三湖のばばの昔語り。11人の子がいたけど生き残ったのは3人だけ。一章につき1人、順番にその子がどんな経緯で死に至ったかが語られていく。現代からみれば「そんなぁー!!」という理由で命を落とす子どもたち。もう福祉!福祉!と叫びながら読みました。特に胸に刺さったのは農作業中エジコに入れておいた赤ちゃんがはいだして水堰にはまってしまった話。村では子どもを水にとられないように水虎さま(表紙にいるあれ)を祀ってキュウリをお供えしてたんだけど…激しい怒りで水虎さまを池に投げ飛ばすばばさま!その顛末がなんとも言えねえ…2021/07/23

ビシャカナ

3
朝早くから腰まで泥につかって稲を植え、日が暮れても水を張るために水車をこいで、毎日働き詰めても地主に収穫の半分を持っていかれる。時には天災で全て台無しになる。そんな土地で農家として生きるのは犠牲なしには生きられない。子どもも当たり前のように労働力となり、危険と隣り合わせ。11人の子どもは2人しか生きられなかった。これが戦前の物語。歴史の教科書からは見えてこない農家の歴史を垣間見る。2018/03/17

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