内容説明
流れ続ける川は、少女に見せてくれます。車の洪水にあえぐ都市、黒煙をふきあげてくすむ工場の街、たどりついた田舎町では、動物たちが草をはみ、田畑はパッチワークのような色合いを見せて広がります。やがて、谷川となった川は、遠い流れの音を聞かせてくれるのでした。気鋭の絵本作家M・マーティンが子どもたちに語りかける、珠玉のエコロジー絵本。
著者等紹介
マーティン,マーク[マーティン,マーク] [Martin,Marc]
グラフィック・デザイナー。イラストレーター。絵本作家。“Monocle magazine”、“Wired magazine”、“The Financial Review”、“Capital magazine”などのメディア、オーストラリアの動画センター、各種イベントなどを舞台に制作活動をつづける。環境・自然・動物などを主題とする作品づくりで知られ、2012年に刊行した“A forest”で絵本創作デビューした。この作品で、オーストラリアの児童書新人イラストレーターに授与される2013年クライトン賞を受賞している
海都洋子[カイトヨウコ]
翻訳家。リテラシー教育研究者。米国ペンシルベニア大学教育大学院修士課程修了。M.S.Ed。Reading Specialistの資格を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
71
窓の外から俯瞰して眺める川は曲がりくねっていて先まで見えません。あの川を流れたらどこまで行くのだろう。都会から工場を通り、森を抜け、滝を下って、真っ暗なジャングルを進むと、マングローブから海に出ます。風が吹き、雨が降り、空が晴れるといつの間にか自分の部屋で寝ていました。窓の外はすっかり暗闇の中。そして銀の船が月光の中、流れていくのを見たような気がしました。まるで万年筆のペン先が、想像力の海の中、紙の上をサラサラと流れるように動くのが見えるように。2021/01/24
陽子
17
窓から見える川。銀の小舟に乗って「私」が旅する。川の向こうにはどんな世界が広がっているのか、ページをめくるたびに自分も小舟に乗って川を下っていくような気持ちになる。どんどん自然に溢れる景色に変わりゆく。が、川が海にたどり着いた後には想像していなかった世界が立ちはだかる。ふと気づくと自分の部屋。まさに「夢の川」。それが良かったのか悪かったのか。これは作者が手を取って連れて行ってくれる不思議な夢の世界。見開き面の表裏を読後に見比べる楽しさもある。太陽と月夜の部屋。作者すら、夢かうつつかかわからないのかも。2019/05/05
ヒラP@ehon.gohon
17
幻想の川を一人の女性が旅していきます。 川の上流を目指しているのかと思ったら、都会から田園を越え、突き進むと大海原で海の中を見おろしたりします。 臨床心理学的な本でもあるような気がしました。 自分自身の今を解放するためには、自分が抱えている障害を越えていかなければならない。 暗示のような、精神分析のような絵と展開です。 自分が川をイメージしたら、どんな川になるのでしょうか。 大人の絵本のように思いました。2017/10/22
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
13
静かで夢を見ているような余韻の残る絵本。窓から見える川を眺めていたら、いつの間にか銀の小舟で川を下っていく少女。都会や田舎、ジャングルなどを通り海へ。そしていつの間にかまた窓から見える川を。 【SDGs14 海の豊かさを守ろう(環境問題一般)】【SDGs15 陸の豊かさも守ろう(環境保全・自然保護)】2019/06/21
ケニオミ
13
自分の住んでいる都会を通る川。この川の行き先は見えないけれど、小舟に乗って下っていくとどうなるのだろう。冒険の始まりです。日本では河口の都会で川は終わってしまいますが、この川はよほど大きな川のようで、途中滝やジャングルがあったりします。そして川下りに留まらず、大海へも進んでいき・・・。夢は果てしないです。2017/08/12