- ホーム
- > 和書
- > 人文
- > 歴史
- > 辞典・事典・年表・資料
出版社内容情報
●第10巻 明治38年(上)
監修のことば 日本の植民地研究の発展を期待する
本書は、中京大学社会科学研究所が1982年から12年間行ってきた「台湾総督府文書」の調査研究の成果の一つとして、現在中華民国台湾省南投県中興新村にある台湾省文献委員会が所蔵している「台湾総督府文書」のなかで、最も重要な文書である「公文類纂」の目録を編纂し刊行するものである。この「公文類纂」は、台湾統治における行政文書であるが、それは台湾総督府の最も基本的な総督府統治史料にほかならない。戦後50年を経ても、日本の植民地支配の歴史を研究するための基礎的な基本史料は殆ど利用されていない。そこに、今日の植民地研究の遅れの原因の一つがあることは言うまでもないであろう。周知の如く、「台湾総督府文書」は日本の台湾植民地支配に関する第一級の最も重要な史料であり、ほぼ完全な形で現存する貴重な日本の植民地支配文書(外地統治文書)である。この文書は、今まで一般には公開されていなかったため、我国の研究者はもとより台湾の研究者においてすら、その全容を知る人は殆どいなかった。然し、数年前に台湾で戒厳令が解除され自由化の流れが進むなかで、台湾省文献委員会は「台湾総督府文書」の歴史的価値を認識し、この貴重な資料を公開する方向に転じていった。この文書の公開によつて、日本の台湾植民地研究は大きく発展することが期待できよう。
1994年1月 中京大学社会科学研究所/台湾省文献委員会