内容説明
女性ジャーナリストが紛争地や被災地へ足を運び、伝えたかったこととは何か。山梨日日新聞紙上の寄稿・取材・インタビューを集成し、故・山本美香さんのまなざしを辿る。
目次
戦場編(キルギス、厳戒地を行く;チェチェンの首都 市民の日々 ほか)
東日本大震災(三陸沿岸を歩く;震災後を生きて)
視点(アフガンの現状;役割問われるメディア ほか)
歩んだ道(山本美香の原風景)
美香さんの伝えた風景
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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガクガク
53
2012年8月、シリア内戦の取材中に銃撃を受けて亡くなった女性ジャーナリスト山本美香さんの寄稿や現地報告を山梨日日新聞社がまとめたもの。世界各地の戦争や紛争地帯に赴き、そこで何が起きているのか、自分の目で見て耳で聞いて、それを伝える。ジャーナリストとしての使命と覚悟を持ち生きた一人の女性の短くとも鮮明な軌跡が浮かび上がる。「命を懸けるほどの取材はない」のかもしれないが、自身の職業使命に純粋に従う限り、結果としての死を避けることはできないし、「何人殺されようと、残った誰かが記録して必ず世界に伝える」のだ。2014/10/31
けんとまん1007
10
人は何故生きるのか?人な何のために生きるのか?そんなことを考えた。一貫しているのが、山本美香さんの視点。現場を見る、弱い人たちの立場・目線に立つという、この2点に尽きる。しかし、これがなかなかできない。メデイアは死んだとよく言われるし、特にマスメデイアはそうだと考えている。ローカルメデイアの中に、可能性が残っている。ジャーナリストとは何か?こういう視点は、どんな職業にも当てはまることだと思う。一人の人間として、学ぶべきことはとても多い。2014/10/23
のり
3
戦争というと「昔のこと」という印象を持ってしまいますが、世界各地で今も起こっている事実。戦地の写真に加え、あまりにも残酷な現実にとても悲しくなりました。直接関係がないこととして、排除してはいけないこと。人道的な見地からも目を逸らしてはいけない大切なこと。危険を顧みず、強い信念を持って、命の尊さ、平和の尊さを伝えようと努めてきたことがよくわかりました。世界の安全は、日本の安全にもつながる。2014/10/10
後藤良平
2
亡くなってもう8年。複数のジャーナリストが戦地で亡くなった気がするが、山本さんの訃報がそんなに前だったのかと驚く。するとシリアの内戦も、それほど長く続いているということか。6つか7つ下なので、45歳ぐらいで逝ってしまったことになる。「世界の安全は日本の安全に繋がる。人道的な見地からも、目を逸らしては行けない大切なことがたくさんあるはず」という彼女の言葉は重い。これは彼女のことを書いた本だが、今度は彼女の著作を読んでみよう。東日本大震災も、9日後から5日間現地に取材に入っていたとは。年間No.95榴岡図書館2020/09/11
sin1row
2
山本美香さんのジャーナリストとしての覚悟、信念が痛切に感じられました。戦争で犠牲になるのは常に弱者。国の大義や正義で国民が犠牲になってはいけない。この状況を伝えることによって何かが変わる、変えられるという思いだったのだと思います。私たちは知らないではすまされない、知って考えることで世界は変わっていくのだと思います。2014/11/06
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