感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
104
”テロリストFがさいごに喰った柿” 戦争主題の俳句が多い。 スタイリッシュな句集。フランス語題ついてるし。2024/08/23
ネギっ子gen
47
【リアリティとは、「ナチは私たち自身のやうに人閒である」といふことだ(ハンナ・アーレント)】多言語多形式で創作する著者の、日本語で作った352句を収録した第4詩歌集。正字・正仮名遣ひ使用。斯様な仮名遣ひに丸谷才一氏を想ふ。再讀しやうかな……。枝折「晝想夜夢」に、宇多喜代子、 高野ムツオ、 恩田侑布子。<句集全體は、古の時より永久に變はらぬ人閒の樣々な性及び現代を生きる人閒の懊惱と安全保障といふ不易流行が軸になつてゐる。一介の人閒として、人閒及び人類の實を追󠄁ひ求め、描くことへのおろかな執念である>と。⇒2025/02/03
かふ
18
「水晶の夜映寫機は砕けたか」映寫機という言葉が映し出すナチスの記憶・それは過去のものなのだろうか?「地下通路くぐりふたたび霧の中」ふたたびというのはフランクル『夜と霧』の世界がやってきたということだ。その地下通路は開かれたための通路ではなく、絶滅収容所に通じている道なのである。各テーマ詠の最初に付けられたエピグラフ(警句)と連動する俳句。海外の俳句はエピグラフと同一視されたところから始まったのだ。それは俳句が有季定型である前に詩であるということ。『星貌』と合わせて読むと新興俳句への弾圧は過去の姿ではない。2024/12/04
田中寛一
17
著者の家族が原爆などの犠牲になったということもあるのだろうか、発行日が8月6日になってた。原爆、ガス室など戦争にかかわる句が多かった。使われている漢字なども旧字や難しい語句もよく見受けられた。句も私には難解なものが多かった。別冊「枝折」として、宇多喜代子、高野ムツオさんらの言葉が付いていて、堀田さんの句についての言葉があって理解が少し進んだ。「戦争と戦争の間の朧かな」2025/05/21
あや
13
「人類の午後」とはどのようなものなのか考えを進めながら読みました。社会問題や歴史も静かに扱いながら17文字とはこんなに自由と叡智を込められる詩形なのかと静かに驚嘆する。あとがきもとても素敵です。2021/09/15