感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
10
〈雲雀料理の後にはどうぞ空の青映しだしたる水を一杯〉〈月淡く差す横顔の輪郭もわたくしの一部分さはるな〉〈ペットボトルをみたす浄水わたくしの胸の屈折率のかなしみ〉〈注意報「生きてゆけない」雨粒がほんの一ミリ海へ降りつむ〉〈眠りまつぷたつカールすつきり刈り込んだ羊私が標的となる〉〈心傷つくことのよろこび満月はバスタブの湯に浮かべて洗ふ〉〈永遠不滅ほろびつづけるやうな日の少し綺麗な林檎を齧る〉〈硝子越し映すこころを移しあふ空に瞳が流れさうなり〉〈わたくしを殺して帰る青空に月の出口がぽつかりとある〉2021/03/26
かみしの
10
〈スクランブルエッグに少しお砂糖をあまくせつなくそしてみだらに〉〈アルペジオ火傷しさうな夕焼の酸つぱい月を抱きしめて〉〈永遠不滅ほろびつづけるやうな日の少し綺麗な林檎を齧る〉〈あたしが欲しい八月の青空の一枚が剥がれて覗く空白〉〈光こそ永遠に崩れて星屑に奪われているたましひのこと〉〈イリュミナシオン光の粒に浮き立つ冬の欲望〉あーかーいーりんーごーに、くちびーるよーせーてー。っていうあの歌を思い出しながら読んだ。2014/06/12
杳
0
「明日といふ言葉の魔力花の闇あしたの朝も生きてゐるはず」「ゆくやうに生まれるやうに死のやうに愛するやうに空が青くて」「かなしみはすきとほるまでてのひらに夏の光を浴びて鍛へる」2019/11/19