感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
155
ヒトなど生物個体の色々なところで、細胞同士が連なり合った壁のような区画分けを形成する。壁の細胞間の隙間は、区画分け以外の働きをする。その一つタイトジャンクションの機能を解明するクローディンなどの発見者月田承一郎先生の自叙伝。余命を知り、若者へのメッセージとして記した本書は、具体的な研究内容より、研究の楽しさや苦しさ、そして必要な「視力」の重要性を諭す。とても貴重な記録で感動の必読書。研究は極めて利己的な行為である。しかしそれは自然を畏怖しながらも果敢に挑戦する人間ならではの尊い知的活動であると教えられた。2019/12/12
mukimi
27
研究者としての濃密な人生の中でクローディンという劇的な発見を成し遂げ50台の若さで亡くなった先生が亡くなる前に二週間で書き上げた自伝と研究の記録。涙なしでは読めない。人生でやり遂げられることは限られている、愛する人と過ごす時間も不意に終わってしまう。自分の人生の計画と今の大切さを考え直す。なぜ人は勉強するのかという普遍的な問いに対しいつか宝の山のそばをたまたま通りかかった時見過ごさないためだという答えは今迄聞いたうちで最も説得力があった。勉強しよう、限りある時間の中で『視力』を鈍らせないために。2016/02/28
macho
11
日本の土台は偉大な基礎研究者の上に成り立っているんですね。感動しました。沼正作先生同様に、これからという時にお亡くなりになっておられたんですね。専門的な内容ですが、医学、理学研究者志望の若者に対して書かれていると感じました。大変な名著です。 選ばれし者が膨大な努力をするとこうなるんですね。2020/09/10
yoi
6
「君と僕が一緒ならきっとすごい研究ができるとおもうんだ」。奥様にそう言うプロポーズをしたという、ある細胞生物学者からのメッセージ。きゅんと来た。2008/08/09
incognito
4
この本にもっと早く出会えればよかった。研究のしかたについてきわめてわかりやすく書かれた本。ご本人は笑顔のほがらかな写真が多く、スタッフが気持ちよくクリエイティブに仕事していたんだろうと思えるところもよかった。奥さんに「君と僕が一緒ならきっとすごい研究ができるとおもうんだ」というプロポーズをしたそうですね。2012/06/23