出版社内容情報
《内容》 ポストゲノム時代を迎え,研究環境は今,劇的に変化しています.
ゲノム情報が蓄積された今,トランスクリプトーム,プロテオーム,メタボローム,インタラクトーム解析などの包括的な解析が生命現象を解き明かすために重要になってきています.そのような潮流を見越した本書では,生命現象を制御系のネットワークとして捉え,見事に解明されていった実例をわかりやすく解説しています.
そして「cell map」「多重的フィードバック」を基本とするシステム生物医学という新しい生命科学の考え方を,生活習慣病,癌,クロノバイオロジー,創薬などをテーマに説いた今までになかった一冊です.
《目次》
序章 人体のしくみを系統的に解き明かす- 新しい学問「omics」-
1.システム生物医学とはなにか- 一対一の医学から「多数対多数の医学」へ
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15.数値の是正より制御システムの是正が重要
第1章 2万2千個の遺伝子の測定で細胞の状態がわかる-トランスクリプトミクスが明らかにした複雑な人体のしくみ-
概要
1.RNAを多数測定する:ハイブリダイゼーションの原理
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8.疾患解明の鍵:たくさんの閉じないフィードバック制御
第2章 静的な「遺伝子」からダイナミックな「ゲノム」へ-ゲノミクスが解き明かした予想外の染色体の全体像-
概要
1.調節配列と反復配列の間に点在するエキソン:ヒトゲノムの全体像
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6.配列だけでは決まらない染色体機能の調節:エピジェネティクスの誕生
第3章 病気から遺伝子を探る「逆遺伝学」,病気から制御メカニズムを探る「逆システム生物医学」
1.SNPから生活習慣病の原因遺伝子を探る
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8.病気の原因となるシステムの探索へ
第4章 その数は3,000にも及ぶ 人体を支配するたくさんの制御系
1.2万2千個の遺伝子の見取り図
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6.ゲノム上の遺伝子ファミリー:どんなシグナルを伝えるファミリーが見つかっているか
第5章 生物時計をつくり出すしくみ- クロノバイオロジー-
1.活性化シグナルが働くと活性化終息シグナルが誘導される
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8.発生,成長,成熟,老化のステージ変化
第6章 イメージングが捉えた細胞の生きた姿- 細胞の形と動きのルール:ローカリゾーム-
概要
1.イメージング:生きた細胞内の分子をリアルタイムでみる
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11.足場タンパク質の解明がこれからの研究の鍵
第7章 タンパク質の相互作用から解き明かす生命の制御のしくみ- プロテオームからインタラクトームへ-
概要
1.どんなタンパク質でも同定できる質量分析
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10.制御のしくみを象徴するタンパク質の相互作用がある
第8章 遺伝的に決定されている細胞の運命- 細胞の系譜のつくるシステム:cell map-
概要
1.氏か育ちか:cell map概念の誕生
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12.細胞の寿命と老化:全身を見張るセーフティーネットが疾患解明の鍵
第9章 システム生物医学が生み出す新たな癌の診断と治療
1.癌遺伝子,癌抑制遺伝子から細胞増殖を制御するメカニズム全体の理解へ
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13.薬物トランスポーターによる多剤耐性への対応
第10章 生活習慣病治療のシステム生物医学- 制御系の重なりを系統的に理解する-
概要
1.コレステロール代謝のフィードバック調節:閉じないループ
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7.基礎代謝量の年齢に伴う変化の謎
終章 omicsの膨大な情報からいかに知識を発見するか
1.多数の制御系の重なりあいとして促える
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7.データベースから法則と治療法へ
目次
人体のしくみを系統的に解き明かす―新しい学問「omics」
2万2千個の遺伝子の測定で細胞の状態がわかる―トランスクリプトミクスが明らかにした複雑な人体のしくみ
静的な「遺伝子」からダイナミックな「ゲノム」へ―ゲノミクスが解き明かした予想外の染色体の全体像
病気から遺伝子を探る「逆遺伝学」、病気から制御メカニズムを探る「逆システム生物医学」
その数は3,000にも及ぶ人体を支配するたくさんの制御系
生物時計をつくり出すしくみ―クロノバイオロジー
イメージングが捉えた細胞の生きた姿―細胞の形と動きのルール:ローカリゾーム
タンパク質の相互作用から解き明かす生命の制御のしくみ―プロテオームからインタラクトームへ
遺伝的に決定されている細胞の運命―細胞の系譜のつくるシステム:cell map
システム生物医学が生み出す新たな癌の診断と治療
生活習慣病治療のシステム生物医学―制御系の重なりを系統的に理解する
omicsの膨大な情報からいかに知識を発見するか
著者等紹介
児玉龍彦[コダマタツヒコ]
東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学ラボラトリーディレクター。1977年東京大学医学部卒業。コレステロール代謝と動脈硬化、肝炎、肝癌の診療に従事。’85年マサチューセッツ工科大学生物学部研究員。マクロファージスカベンジャー受容体の遺伝子の論文などNatureに5報ほか論文多数。その欠損マウスを作製するなかからダブルノックアウトで動脈硬化がよくも悪くもなることを発見し、システム生物学の必要性を痛感しました。’96年東大先端研教授に就任とともに血管のシステム生物医学研究をはじめる。2002年にはシステム生物医学ラボラトリーのディレクター就任、特任教授に。’03年には法人化とともに興和基金による初の「基金教授」。フィードバックをもった大学づくりから癌と生活習慣病の画期的な創薬をめざしている
仁科博道[ニシナヒロミチ]
東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学ラボラトリー産学連携研究員。医学博士。東京薬科大学大学院薬学修士課程卒。米国トマスジェファーソン医科大学研究員、聖マリアンナ医科大学医学部講師、中外製薬株式会社主席研究員を経て現職。聖マリアンナ医科大学時代に日本初の移植用ヒト表皮細胞の培養化に成功、中外製薬株式会社時代に乾癬治療薬としての新規VD誘導体の研究・開発・上市に携わる。現在、種々なヒト組織の初代培養細胞からの発現遺伝子のDNAマイクロアレイ分析に参加、今後異なる細胞間のコミュニケーションを培養下で解析したい。また、蛋白抗原を調製するグループにも参加、簡便な抗原づくりを模索中
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