出版社内容情報
《内容》 動物の骨格を形成する必須の器官であり,臨床面での重要性も高い「骨」に焦点を当てた1冊.骨の形成と吸収を制御するメカニズムについて最新の知見を紹介するとともに,骨粗鬆症やリウマチによる骨破壊,癌の骨転移の病態や発症機序について解説しました.また,骨・軟骨・歯牙の再生の臨床応用もとりあげ,新たな治療法の開発を展望する内容となっています.
《目次》
概論:成長を続ける骨研究
米田俊之
第1章 骨・軟骨形成の分子メカニズム
1. 軟骨パターン形成とホメオボックス遺伝子/黒岩 厚
2. 骨芽細胞・軟骨細胞の分化因子Runx2/Cbfa1/小守壽文
3. 転写因子Osterixは骨形成に必要である/中島和久
4. 転写因子C/EBPβによる未分化間葉系細胞から
骨芽細胞および脂肪細胞への分化制御/西村理行,波多賢二,米田俊之
5. 骨代謝制御シグナルとしてのオステオポンチン/野田政樹,石島旨章,森信幹彦,辻 邦和,二藤 彰
6. 骨形成にかかわるWntシグナリング/濃野 勉
第2章 骨吸収の分子メカニズム
1. 破骨細胞の分化,機能,生存におけるRANKL/RANKシグナル
-IFNシグナルとのクロストークを含めて/門野夕峰,高柳 広,田中 栄
2. 破骨細胞の形成と機能を調節する炎症性サイトカインと
リポ多糖(LPS)の作用機構/小林泰浩,宇田川 信之,高橋直之
3. 破骨細胞に発現する新しい免疫グロブリン様分子,OSCAR/高見正道,Nacksung Kim,Jaerang Rho,Yongwon Choi
4. 破骨細胞における転写因子MITFの役割/野村 慎太郎
5. 歯の萌出,移動における破骨細胞の役割/山本照子
第3章 骨格系の制御因子
1. 核内レセプターとシステム/加藤茂明,須沢美幸,中村 貴
2. 軟骨由来制御因子コンドロモジュリン-I/宿南知佐,中道裕子,開 祐司
3. TGF-β/BMPシグナルと骨芽細胞分化/前田真吾,今村健志,宮園浩平
4. FGFシステムと骨パターン形成/井関祥子,野地澄晴
5. レプチンと骨代謝/竹田 秀,Gerard Karsenty
第4章 骨・軟骨疾患の病態と発症機序
1. エストロゲン欠乏と閉経後骨粗鬆症/宮浦千里
2. 加齢と老人性骨粗鬆症/井上大輔
3. 関節リウマチにおける骨破壊
-破骨細胞の関与/小竹 茂
4. 骨転移:癌と骨との共同成果/米田俊之
第5章 骨・軟骨研究の新展開と臨床応用への展望
1. 骨粗鬆症と遺伝子多型性/細井孝之
2. 骨再生-基礎研究の展開/山口 朗
3. 骨軟骨の再生・修復-臨床応用への展望/松峯昭彦,内田淳正
4. エナメル上皮幹細胞と歯の再生医学/原田英光
5. 骨形成促進薬の創薬に向けた新展開
-PTH(1-34)とEP4アゴニスト/中村利孝
内容説明
本書では、骨格系の制御機構に関する最先端の研究成果を集約することを通じて、その統合的な理解に向けた道筋を探るとともに今後の課題を浮き彫りにすることをめざした。第1章では軟骨および骨芽細胞の分化制御にかかわる転写因子群などを、第2章では骨吸収にかかわる制御因子を取り上げ、また第3章ではこれらの細胞系の調節にかかわる脂溶性リガンドや分化誘導因子などによる制御機構について最新の知見を整理。そして第4章では、これらの制御機構の異常に基づく代表的な疾患の病態や発症機序について概説。第5章では骨再生や新たな治療法の開発に向けた研究の現状および将来への展望を述べた。
目次
第1章 骨・軟骨形成の分子メカニズム(軟骨パターン形成とホメオボックス遺伝子;骨芽細胞・軟骨細胞の分化因子Runx2/Cbfa1 ほか)
第2章 骨吸収の分子メカニズム(破骨細胞の分化、機能、生存におけるRANKL/RANKシグナル―IFNシグナルとのクロストークを含めて;破骨細胞の形成と機能を調節する炎症性サイトカインとリポ多糖(LPS)の作用機構 ほか)
第3章 骨格系の制御因子(核内レセプターとシステム;軟骨由来制御因子コンドロモジュリン‐1 ほか)
第4章 骨・軟骨疾患の病態と発症機序(エストロゲン欠乏と閉経後骨粗鬆症;加齢と老人性骨粗鬆症 ほか)
第5章 骨・軟骨研究の新展開と臨床応用への展望(骨粗鬆症と遺伝子多型性;骨再生―基礎研究の展開 ほか)
著者等紹介
米田俊之[ヨネダトシユキ]
1972年大阪大学歯学部卒業。’76年大学院博士課程を修了し、歯学博士取得。’77年より米国コネチカット大学医学部内分泌代謝部門(Riasz教授)、’79~’80年の間NIH、NIDRにポスドクとして留学。’80年に帰国、’85年口腔外科認定医取得するも、基礎的研究に強い興味をもち続け、研究に専念するため’87年テキサス大学医学部サンアントニオ校に移動。’97年より現職。途中’92~’93年の間、東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
加藤茂明[カトウシゲアキ]
1988年東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士。この間’87年から博士課程在籍中に仏国ストラスブールIGBMC P.Chambon博士の下1年間ポスドク。’88年から東京農業大学農芸化学科にて助手、講師、助教授を経て、’96年2月から東京大学分子細胞生物学研究所分子生物部門・講座主任助教授、’98年12月より同教授。留学後から一貫して低分子量脂溶性リガンドの核内レセプターを介する情報伝達の分子メカニズムに興味をもっている
松本俊夫[マツモトトシオ]
1974年東京大学医学部医学科卒業。’77年同第一内科入局。’78年米国エール大学留学。’81年東京大学医学部第四内科入局。’82年同助手。’87年東京厚生年金病院内科医長。’88年東京大学医学部第四内科講師。’96年徳島大学医学部第一内科教授。2002年より現職。現在は、内分泌代謝学、骨カルシウム代謝、とりわけ骨粗鬆症、癌の骨病変などの代謝性骨疾患の研究を行っている。さらにこれと関連する血液免疫疾患や、内分泌代謝疾患によりもたらされる循環器脈管疾患などの内科疾患の研究も進めている
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