内容説明
2015年大河ドラマ「花燃ゆ」のヒロイン・文をはじめ、吉田松陰の親族として幕末・明治の動乱期を生き抜いた4人の女たちの物語。吉田松陰の母・瀧、妹の千代・寿・文が、逆風に晒されながらも、明るくしたたかに生きていく様を、ゆかりの地の写真を交え、ユーモラスな文体で生き生きと描写しています。小説仕立てで、母と妹たちの家族の視点から見た吉田松陰らを浮き上がらせています。吉田松陰といえば、松下村塾を主宰し、多くの尊攘志士を育てた、幕末の思想家・教育者として余りにも有名である。幼い頃から神童と呼ばれ、11歳にして藩主に兵学の講義をし、長じては大胆にも米艦での密航を企て、安政の大獄では自ら罪状を吐露して、29歳の若さで刑場の露と消えた潔い人生…。そんなドラマチックな生き様ゆえ、彼の家族たちは良きにつけ悪しきにつけ、その大きな影響を受けずにはいられなかった。もちろん、女たちも例外ではない。松陰が生まれた杉家には、母・瀧、妹の千代、寿、文の4人の女性がいた。当時は未だ封建社会。一般女性の肉声が歴史に残ることはほとんどない。松陰と同じ屋根の下に暮らしながら、彼女たちは何を思い、どんな行動をとったのか。彼女たちの生きた軌跡が辿れるなら、これまでとは違った角度から松陰とその時代が照射されるに違いない。本書は、杉家に籍を置いた女たちの、数奇な運命の物語である。
目次
嫁入り―持参金付き花嫁だった松陰の母・瀧
神童―「勉強オタク」の松陰を案じる瀧
毛利家―松陰の才能を見抜いた?「そうせい侯」
仲良し兄妹―長女・千代が抱いた疎外感
父と娘―百合之助と千代の2人暮らし
九州遊学―好男子・松陰に憧れる二女・寿
脱藩―松陰の「友達思い」に呆れる寿
寿の結婚―相手は松陰お墨付きの人格者
密航未遂―松陰の「ノーふんどし」を笑う寿
牢獄―松陰の、女囚との交流を冷やかす千代〔ほか〕
著者等紹介
鳥越一朗[トリゴエイチロウ]
1955年京都市生まれ。京都府立嵯峨野高校を経て京都大学農学部卒業。ボランティア活動を通じ、京都の自然や歴史のPRに取り組む。関西気象予報士会京都部会世話人、京都森林インストラクター会理事。著書に「一千年の恋人たち」、「平安京のメリークリスマス」、「麗しの愛宕山鉄道鋼索線」「京都一千年の恋めぐり」、「京都大正ロマン館」、「電車告知人-明治の京都を駆け抜けた少年たち-」「茶々、初、江 戦国美人三姉妹の足跡を追う」、「平清盛を巡る一大叙事詩「平家物語」の名場面をゆく」「平清盛伝 京都源平地図本―平清盛・平家年表付」、「ハンサム・ウーマン新島八重と明治の京都」「レトロとロマンを訪う京都明治・大正地図本―新島襄・八重、山本覚馬物語&近代建築物年表付」「絶対絶対めげない男黒田官兵衛の行動原理」、「軍師官兵衛戦跡地図本」などがあり、京都の歴史を切り口を変えて取り上げて来た、京都再発見の名手です(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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