内容説明
その神話性ゆえに検証を拒んできた“孤高の天才画家”のヴェールを解き放ち、蔓延する神話的言説の解体を試みた渾身の研究書。新稿「1996年以降のフェルメール」を加え、ペーパーバック版で登場。第10回吉田秀和賞受賞。フェルメール関連古文書、財産目録など貴重な一次資料収録。作品36点のカラー図版掲載。
目次
第1章 フェルメール忘却神話の真相
第2章 古文書が語る生涯の軌跡
第3章 一七世紀前半のオランダ絵画とフェルメールの選択
第4章 自己の発見―独自様式の確立に向けて
第5章 洗練、完成、そして停滞
第6章 フェルメールの制作法を探る
第7章 風俗画の語るもの―意味と無意味の狭間で
第8章 寓意の図像
エピローグに代えて―デルフトを描く
資料編
著者等紹介
小林頼子[コバヤシヨリコ]
1948年山口県生まれ。1982‐85年ユトレヒト大学美術史研究所留学。1987年慶應義塾大学大学院博士課程修了。現在、目白大学社会学部メディア表現学科教授。『フェルメール論―神話解体の試み』と下記『フェルメールの世界』により第10回吉田秀和賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobu A
8
小林頼子著書初読。08年刊行。フェルメール研究者からよく言及される本書。噂に違わず立派な研究文献。「はじめに」で90年代後半にオランダとワシントンで行われたフェルメール展に触れ、本書の狙いを説明。のっけから高尚な語彙を鏤め、研究論文宛ら。美術関係の論文や説明文ってこんな感じなんだって表現に目が行った。また、フェルメールの作品から技術や影響を受けた人達を読み解く緻密な手法には舌を巻く。でも、俄絵画ファンにはハードルが高過ぎた。フェルメールに限らず、もう少し美術史の造詣を深めて再読したい。後半流し読み読了。2024/02/19
くらげ
2
フェルメール関係の本を読んでいて、ほぼすべての本で参考文献として紹介されていたので、1ヶ月ほどかけてゆっくり読んでみた。 かなりの厚みがあってとっつきにくいかと思ったけど、言葉遣いは難解ではなく、内容が多少高度であってもするする読めた。 読んでいて痛感したことは、絵画の技術面はやはり実物を見ないとぴんと来ないということ。 塗りの厚さや筆遣いの話になると、印刷ではお手上げです。 また日本にフェルメールが来ることがあれば、是が非にも見に行きたい。 また、小林さん以外のフェルメール研究者の著書も読みたい。 2013/01/07
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