- ホーム
- > 和書
- > 芸術
- > 絵画・作品集
- > 絵画・作品集(西洋)
内容説明
19世紀末~20世紀初頭、「黒」と自在な色彩感覚でシュルレアリスムを先取りする華麗な幻想世界を創造したオディロン・ルドン。画家が遺した手記や手紙から自作についてのコメントや芸術観を綴った文章を選りすぐり、作品とともに集成したオリジナル画文集。
目次
1840‐1878―黒の故郷
1879‐1889―黒の画家
1890‐1916―色彩の輝き
著者等紹介
ルドン,オディロン[ルドン,オディロン][Redon,Odilon]
1840年フランス、ボルドーに生まれる。1863年彫刻を始める。版画家ルドルフ・ブレダンに出会い、銅版画とリトグラフの技法を習う。1867年サロン版画部に『浅瀬』入選。1879年最初のリトグラフ集『夢のなかで』を刊行。1881年パリの『現代生活』誌社で初めての個展を開く。1884年独立芸術家協会創設に参加。1903年レジオン・ドヌール勲章を受ける。サロン・ドートンヌ創設に参加。1916年オディロン・ルドン、パリの自宅にて歿
藤田尊潮[フジタソンチョウ]
1958年生まれ。早稲田大学大学院博士課程満期退学。パリ第4ソルボンヌ大学DEA。現在、武蔵野美術大学教授。専門は20世紀フランス文学、フランソワ・モーリアック、サン=テグジュペリなど(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
127
まあまあ。とにかくルドンの作品がたくさん収録されていて、見ているぶんには楽しい。テキストは、ルドン本人による手紙などを翻訳したもので、とくに作品について解説したものではなく、自分自身の考え方の断片をつづったものになっている。なかにはおもしろい文章もあったりするけど、全体的に抽象度が高くて、読んでもわかったようなわからんような感覚。でも確かに、黒に耐えられるのは若者の特権なのかもしれない。2020/11/18
市太郎
47
画文集。ルドンに興味を持ったのは「眼=気球」という絵を知ってからだった。〈眼は奇妙な気球のように無限に向う〉というのを読んだときに僕は「井の中の蛙」という言葉を思い出した。「井の中の蛙大海を知らずされど空の青さを知る」というような文句が記憶のどこかにあってそれを思い出したのだ。ルドンの「眼」が向いているその空は暗い。「ステンドグラスの窓」には色彩と線の調和を実現したいと。そしてルドンの絵はどこまでも優しいしその色彩は魅力的だ。でもあの眼は何故闇を自分の希望であるかのように一心に見上げているのか。気になる。2014/01/28
芍薬
20
エキゾチックな色彩の『キュクロプス』『ステンドグラスの窓』も素敵ですが、何と言ってもルドン.ノワール!画布に蔓延る薄暗闇が私をうっとりさせるのです。2014/05/27
ドン•マルロー
17
ルドンといえば、初期のモノクロームで描かれたちょっと不気味な木炭画と、花瓶を代表とする後期の色彩豊かなパステル画とで有名な画家だ。あれほど執拗なまでに黒という色にこだわった彼が、いかなる理由で色彩をに手を出すことになったのか、私は前々からひどく興味があったのだ。「黒は私をひどく疲れさせる。」……これが画家の用意した答だった。しかし、私は肩透かしをくらったように感じながらも、同時に心のどこかで納得もしていた。「黒は、パレットやプリズムの美しい色以上に精神の活動家なのだ」木炭画時代の彼はそういっている。そうな2015/12/23
スエ
5
基本的にルドン本人の文章と作品だけで構成された一冊。最晩年の「人間」って作品が、パステルの鮮やかな色彩のなかで人間のシルエットだけが真っ黒に塗り潰されていて、黒から色彩へ移行した彼の歴史を踏まえると何とも意味深である。2011/03/21