内容説明
俗人の結婚生活に影を落とす「聖」、修道士たちの日常に潜む「俗」、死・来世・悪魔のイメージのなかで絡み合う「聖と俗」。日常史の視点から「中世的思考」の本質に迫る。
目次
第1章 中世の結婚と家族―「人が独りでいるのはよくない」(結婚―宗教的な制度にして世俗的生活様式;家族―社会生活の基本様式 ほか)
第2章 「主の学校」と「共住生活」―聖俗両界の狭間にある中世の修道院(聖ベネディクトゥスのメッセージとその成果;修道院の世俗化―修道院の禁域と外部との接触 ほか)
第3章 死に向けた人生?―中世の死生観(中世社会を映す鏡としての宗教的表象世界;「生のさなかに死に囲まれて」―中世社会における死 ほか)
第4章 悪魔は至る所に―中世における悪魔の認識と役割(救済史の中の悪魔;悪魔の姿と出現 ほか)
著者等紹介
ゲッツ,ハンス=ヴェルナー[ゲッツ,ハンスヴェルナー][Goetz,Hans‐Werner]
1947年生まれ。ドイツの中世史家。ボッフム大学教授を経て、現在、ハンブルク大学教授
津山拓也[ツヤマタクヤ]
1962年、佐賀県に生まれる。1990年、東京外国語大学大学院修士課程(独文学専攻)修了。現在、国学院大学、二松学舎大学非常勤講師
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感想・レビュー
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takao
1
ふむ2021/08/06
陽香
1
200404302015/04/23
児玉
1
最も関心を持ったのが、修道院に関する記述である 単に清貧を良しとする人々の集まりではなく、修道院長の人事に関する騒動や、修道院の僧たちの反抗といった、修道院内部の抗争が記されている点に興味を持ち、私自身が持っていた修道院観を大きく覆してくれた。2014/12/11
じろ
0
結婚、修道院、死、悪魔についての四つの章で構成される。三章以降も、死後の生の為に修道院に寄進する貴族などが、主な登場人物であるので、修道院の章の続きとして読める。印象的だったのは、修道士たちの騎士階級への帰属意識の高さ。2014/01/05
みか
0
中世ヨーロッパでは、正式なムント婚と、「恋愛結婚」いわゆる「フリーデル婚」が並存していたことが分かります。秘密結婚、あるいは「女性の略奪」による結婚は「法にかなった正しい結婚」とは認められず、禁止令が繰り返しだされたんだそう。それは中世初期に「略奪婚」がそれほど多かったことを意味しているのかもしれません。2006/08/02