内容説明
パリを訪れる人でこの聖母堂(ノートル・ダム)の前に立たない人はあるまい。パリの象徴であるとともにゴシック建築の代表的傑作であるノートル・ダム・ド・パリのすべてを描く日本初のガイドブック。収載した写真・図版は150点以上。
目次
1 歴史としてのノートル・ダム(歴史としてのパリ;歴史としてのノートル・ダム大聖堂 ほか)
2 大聖堂としてのノートル・ダム(ノートル・ダムとゴシック建築;プラン(平面図)から見たノートル・ダム大聖堂 ほか)
3 彫刻としてのノートル・ダム(一二世紀の扉口彫刻;一三世紀の扉口彫刻 ほか)
4 図像としてのノートル・ダム(中世美術における「悪徳」の表現;「王ギャラリー」 ほか)
5 ユゴーの見たノートル・ダム
著者等紹介
馬杉宗夫[ウマスギムネオ]
1942年広島県生まれ。1967年、東京芸術大学芸術学科修士課程修了。1974年、パリ大学付属考古学研究所博士課程修了。現在、武蔵野美術大学教授
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
285
著者の馬杉宗夫氏の専門は芸術学で、聖堂建築に関する著書が多数ある。ノートル・ダムといえば、私たちはパリのシテ島にあるそれを思うが、著者がタイトルに「パリの」とあえて付しているのは、本来はこれが一般名詞であるから。フランスの聖堂の大半は、ノートル・ダム=我らが女性=聖母マリアに捧げられたものであるらしい。1163年に着工され、1225年に一応の完成を見たこの建物。高さと威容を誇るドイツ・ゴシック(典型例はケルン大聖堂)と違って、双塔の正面をはじめ、内部空間はいたって優美である。これぞフランス・ゴシックの粋。2023/02/26
A.T
17
マリア信仰をコンセプトに建てられたノートル・ダム。大きなバラ窓が中央にある西正面扉から奥へ進むと、ドーム天井の突き当たりには十字架の前にキリスト、ではなくピエタ…死せるキリストの身体を抱いて嘆き悲しむ聖母マリアの像がある。マリア信仰とは、最後の審判とは何かを懇切丁寧に説明。寺院の内外をズラリと囲む彫刻。革命によって19世紀初め頃、多くの彫像やステンドグラスが破壊された。像にかぶせられた冠は王族、貴族を意味するものと勘違った無知蒙昧の仕業。冠は元々、キリストから授けられる聖者のしるしであった…。2025/07/19
Laz
2
タイトル通り, パリのノートルダムに絞った本. 扉口彫刻について特に詳しく, 私が読んだ中で最も力を入れている本. 他にも, ステンドグラスやガーゴイルなどの美術要素, アーチなど建築要素, 歴史についても書かれているが, やっぱり扉口彫刻の詳しさがこの本の強み. ゴシック建築に関する本は, 「飛梁やアーチなど技術・構造寄りの本」「ステンドグラスや彫刻など美術解説寄りの本」の2パターンが多いが, こちらは【建築:美術 = 2:8】くらいで美術寄りの本.2020/05/21