内容説明
額縁の歴史にはじまり、デザインや製作上のテクニック、絵画との深い関係からインテリアとして果たす役割に至るまでを簡潔にレクチャー。額縁に熱い関心を寄せるロンドン・ナショナルギャラリーの学芸員が語る、定評ある入門書。
目次
取り外しできない額縁(古い画枠が生き残ったわけ;はじめから取り付けられた額縁、一体に彫り出された額縁;額縁と絵画の連続性)
取り外しできる額縁(オリジナル額縁;タベルナクル額縁と箱型額縁;コレクターのための額縁;ギャラリー用の額縁)
基本構造と細部(バスティーリャ;型成形による装飾;フランス製額縁の質感;水性めっきと油性めっき;装飾部品を別づけにした額縁;再めっきされて損傷した額縁;修復作業)
著者等紹介
ペニー,ニコラス[ペニー,ニコラス] [Penny,Nicholas]
ロンドン・ナショナル・ギャラリーのキュレーター(ルネサンス絵画部門)を務める。イタリアおよびイギリス絵画に関するものや、彫刻の技法や嗜好の変遷についての著書がある
古賀敬子[コガケイコ]
横浜生まれ。フェリス女学院中学校・高等学校卒業。慶應義塾大学文学部卒業(西洋美術史専攻)。株式会社和光勤務を経て、北欧織物、洋裁、インテリア・コーディネート、写真撮影・暗室技術を修得。現在、美術・宝飾関係を中心に翻訳の仕事に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
74
20世紀初頭までほぼすべての絵画は額縁に入っていた。黒い額縁では白を、金色の額縁では青を強調し、その効果が合わさると「完璧な結婚」と呼ばれる。また同時に家具の歴史とも関連があり、インテリアとの調和も求められる。普段意識することのない額縁を15C祭壇画、16Cイタリアの箱型額縁、17Cオランダの精密な額縁、その後建築家が装飾の一部としてデザインしたものと具体例を挙げて解説する。今回カナレット「大運河のレガッタ」が出品される。額縁の実物を見られるのか興味がある。ロンドン・ナショナル・ギャラリー学芸員の著した本2020/07/24
Nat
33
図書館本。美術館や美術展で絵画を見るたびに、少し気になっていた額縁。図書館でこの本を見つけたので読んでみました。この本は、額縁に熱い関心を寄せるロンドンナショナルギャラリーのキュレーターのニコラス・ペニー氏が語ってくれたものでした。(額縁に熱い関心を寄せるキュレーターという説明がいいですね。)紹介された図版は全てナショナル・ギャラリーのコレクションから選りすぐったものなので、作品を見ながら楽しめました。中々国内の美術館にも足を運べない日々ですが、次に美術館へ行った時は、作品と共に額縁も鑑賞してみます。2021/04/24
更紗蝦
12
額縁を立体作品として認識するきっかけになりました。ヤコポ・ディ・チオーネの作とされている『磔刑図』(祭壇画)の画枠は、床にひざまずいて下から見上げると、天蓋形をした庇の内側に星が見える…という話が、とても印象に残りました。2014/06/24
散歩牛
6
額縁って色々と形とか用語とか歴史があるものなんだなあと思った。分かり易い内容だし写真も多めなんだけど、でも残念ながら自分にはいまいちピンとこなかった・・・話し違うけど前にTVで海外の大きな美術館には額縁「だけ」の巨大な収蔵部屋があった。また日本のアート系のショップには時々イタリアやフランスから直輸入したデザインの葉書スタンドがあって、凄く手が込んでたり装飾がはいってたりする。欧米だと絵画に添うものとして額に対する価値観も日本とは違うのかなー、なんて思った。2016/09/07
wang
4
普段は脇役としてあまり意識されない額縁について実例で色々なものが見られる。初期の額縁についてはあまりわかっておらず、絵画の所有者によって付け替えられることも多く、画家自身によりつけられたオリジナルがどのようなものかもわかっていない。さらにどのように掲示されたかもわからない。が宗教画を礼拝するために付けられた物から始まったと考えられていて、その頃の絵画と一体となっている額縁や同一素材から切り出されていた等のことは知らなかった。華美な装飾や金箔付けなど、さらに用語や構造なども。カラー図版が多いのがよい。2016/09/10