内容説明
哲学にも「発見」と「発明」がある―価値の大転倒をはかる、稀代の企み。ヨーロッパの歴史は、文明も道徳も無力なものへと向かう。それをニヒリズムと呼んだニーチェは、従来の価値を一蹴した。病の拷問のような生涯を賭して書きつづけ、この孤高の人は看破する。世界は「永遠回帰と力への意志」をつうじて、人間の意志とは無縁に展開しているのだ―。「同じきものの永遠回帰。いっさいの来たるべきものにとってわれわれの知、迷い、われわれの習慣、生活様式は無限の重要性をもつ。残された生をわれわれはどうするのか?」一見奇怪なニーチェの問いの深奥をとらえた、気鋭の入門書。
目次
第1章 フリードリッヒ・ニーチェ年代記―「三段の変化」(駱駝の時代―一八四四~一八七一;獅子の時代―一八七二~一八八二;幼子の時代―一八八三~一九〇〇)
第2章 フリードリッヒ・ニーチェの思想―「発見」と「発明」(概念;心理学;文体)
第3章 フリードリッヒ・ニーチェの主要作品(『悲劇の誕生』;『反時代的考察』;『人間的、あまりに人間的』 ほか)
著者等紹介
湯山光俊[ユヤマミツトシ]
1963年東京生まれ、文筆家・思想史家。専修大学文学部人文学科卒業。パリ、インド・バナラシを遊学。ドゥルーズ研究、ニーチェ研究
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感想・レビュー
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さえきかずひこ
7
ニーチェ入門書は数冊読んでいるが、この本がその中でも飛び抜けて素晴らしく、座右の一書にしたく思った。平易で簡潔な文章にはニーチェへの愛が感じられるし、構成も申し分なく、巻末のニーチェの作品ガイドも役に立つ。現代の哲学にもきちんと接続し、ニーチェの今日性についても自然と触れられるようになっている。2017/04/18
無職のハゲだよ\(^-^)/
1
全然初心者向けじゃなかった。2014/07/09
kino
0
ニーチェをはじめて読んでみようと思った。まずは勧めに従い『悦ばしき知識』から…2011/05/13
とも
0
最初の章で,ニーチェの一生を一年ごとに記述してあるのがとても良かった。一人の思想家がその時々でどのような境遇にあったか,何を考えていた(と推測されるか)が,よく分かるようになっている。入門書としてはとても良いと思う。しかし,それでも「永劫回帰」についは,やはりよくわからん。2011/01/28