内容説明
過剰意味づけ、うるさい、自分の主張を押しつける、せっかち、リーダーシップなし、責任をとらない、被害者意識ばかり…いまや団塊世代をバッシングする言葉は何らの緊張感なしに垂れ流されている。しかし、誰にそう言い切る資格があるのか?純粋戦後世代第一号たるこの世代を論じることは、とりもなおさずこの国の戦後が無意識に追求してきたものを論じることに他ならない。好悪の感情ではなく、自分を論じるようにこの世代を論じ切ることは、じつに戦後を、身勝手を正当化するだけのろくでもない代物にするか生きる根拠とするか、の分かれ目である。嫌われ続ける団塊の世代、その根拠の正否を問う。
目次
序章 団塊世代の真後ろで―私の立場
第1章 幼くして民主主義教育を受ける
第2章 学生として乱を起こす
第3章 若者として歌う
第4章 サラリーマンとして惑う
終章 日暮れて道はなく、課題はある
著者等紹介
由紀草一[ユキソウイチ]
1954年茨城県生まれ。1978年早稲田大学大学院文学研究科芸術専攻修了。現在、茨城県の公立高校教諭(英語担当)
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感想・レビュー
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白義
7
僅かに下の世代から見た、団塊の世代の戦後史。団塊論を軸にした戦後民主主義論でもある。と書いてだいたい予想できる内容通りのことが書いてある。戦後教育の理想と建前、学生の反乱、サブカルチャー、典型的サラリーマンとしての生活と四つの軸にそって批判と共感混じりに語られる団塊像は貴重な戦後史の証言だろう。だが今から見るとだらしない楽天的ミーイズムと責任感の欠落した権利意識を批判する著者も、団塊と同じくずれていて平和なものだなあという感じになるのは否定できないところ。団塊本の中では良書の部類でおすすめ2012/07/24
ステビア
5
厳しいですね。団塊の世代の人々は読んでどう思うだろう?2014/02/22
Shin
5
図書館で目に留まって借りてきた本。団塊の世代に限らず、世代に関する議論をステレオタイプ論から遠ざけようとすると世代論にならないというジレンマがある。この本も、「世代論のくだらなさ」を冒頭でエクスキューズしているが、それによって議論の幅を自ら狭めてしまっている。団塊の世代が過ごしてきた「時代」の概観としてはよくまとまっているかも知れないが、近い世代に属する著者の、自分たち世代へ向けた照れ隠しの回顧録の範囲は出ていない。団塊の世代が現役を退くいま、彼らの好きだった「総括」は日本にとって必要だと思うのだけれど。2011/10/15
Humbaba
2
団塊の世代といえば,ネット上では非常に叩かれている存在である.戦後生まれ育ってきた第一世代とも言うべき団塊の世代について語ることで,日本はどのような国になろうとしたのかを考える.2010/07/29
うりぼう
2
ある段階を登るための世代でした。2003/10/24