内容説明
“商人の発見”が縄文像を書き換える!一万数千年も続いた縄文時代は、実はモノが大量かつ広範囲に移動する時代だった。超高級品のヒスイ、鏃やナイフの材料になった黒曜石、接着剤だったアスファルトなどを、誰が原産地から運んできたのか?経済人類学、民族学、考古学の最新成果をもとに、交易舟を駆使する“縄文商人”の姿を明らかにする刺激的対話集。
目次
序章 縄文商人の発見
第1章 なぜ発見が遅れたのか?
第2章 何をどのように商っていたのか?
第3章 三内丸山が縄文商人の拠点になった理由
第4章 マージナルな縄文商人たち
第5章 縄文商人が活躍した社会とコスモロジー
第6章 交易舟に乗った「海の商人」
第7章 縄文社会の盛衰に対応する商人たち
第8章 三内丸山の消滅と、縄文商人の行方
終章 新しい縄文時代像の可能性に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
17
考古学だけでなく、人類学とか民俗学の視点からの話が入ってるんで過去への外挿の不確かさはあるんだけど、それでもまあヒスイや琥珀や黒曜石を普通の村人がえっちらおっちらと何千kmも運んだ、、とは思えないから、やっぱ「商人」(〜交易を生業とする人)はいたんだろな。。2022/06/16
tama
10
図書館本 私の、縄文人のイメージが間違い過ぎてた。想像はほぼネアンデルタールだったから。髭モジャはともかく槍持って毛皮一枚ではない!「昔、縄文遺跡から出るヒスイはビルマ産と永いこと思われてた」陸伝いにか?その方が不自然だろうが!津軽の海で獲ったブリ・サバは頭落として干物にして三内丸山に運んでたらしい。三内丸山に限らず、縄文時代に各地に専門加工場(ヒスイ、漆、貝など)と専門家が存在!製品を運んで交易する「商人(輸送業兼ねる?)」も存在してた。こりゃネアンじゃないわー。しかし、小山って方は口数多いなー。2020/09/23
よきし
6
ひさびさの縄文本。対談形式で読みやすい。2000年と内容的にもちょっと古いが、日本の考古学が抱える問題や視点の狭さをしっかりと議論しつつ、三内丸山を見ることで、そういったことがどのように変化していけるきっかけとなったのかも見えてくる。まさに縄文・三内丸山を見つつ、日本の考古学会のあり方を批判しているともいえる一冊。各所に興奮のポイントがあり、あっという間に読んでしまった。アスファルトは縄文時代から必須の素材でありながら和名はないのか?というのが大きな疑問。2012/02/21
snsk
3
対談形式なので、さくさく読める。古代史というと、記紀や中国・韓国の史書にどう書いてあるだの、考古学の発掘調査で何が見つかっただの、そういう議論が多いですが、この本では三内丸山で見つかった考古学的成果をもとに仮説ベースでいろいろと推論を膨らませているので、まあ根拠レスな話ではあるんですが夢があって面白いです。縄文時代の北日本・裏日本って思った以上に豊かで成熟した社会だったんだろうなあと想像が膨らみます。2009/02/23
くるくるまる
2
縄文人すごい!この手の本初読みなので知らないことだらけ。機械や最新技術がないと何も出来ないと思い込んでしまうけど知識と技の蓄積があれば木の舟で大陸にも渡れるし実際頻繁に行き来していた、や、成熟した文化(ここでは三内丸山の縄文文化)が何かを新しく取り入れるケースは非常に少ない、など、なるほどと思う点が多々。社会・経済の推移は今と同じだ!まだ証明しきれていない部分を現代人が想像も駆使し埋めていく対談だからか(今の社会でも理解しやすい整理に落ち着いてしまう)?2013/09/28