内容説明
ニヒリズム、神の死、永劫回帰など、誰もがそれが重要だといい、自分もどこかで聞いたことのある言葉を頼りにして、それをなぞっていく、そんな読み方はもう止めるべきだ。ニーチェその人が何と格闘していたのかをわれわれは知らない、われわれはいかにニーチェを知らずして彼を読んできたか―、ニーチェへの旅の出発点はそれを自覚することにある。世界のつるつるした平面に傷をつけ、堅牢に見えた建物の基礎を掘り崩してしまったニーチェ。彼が世界に傷を負わせてしまった、まさにその場所に赴くこと、そうすれば彼はいまなお読まれうる。
目次
序章 少女と覆い
第1章 認識―知ることはよいことだと諸君は思っているが、それは何故か知ってるか?
第2章 真理―真理に最終審の判決のような効果を求めるのはおかしい、やめるがいい
第3章 道徳―道徳を疑っても、道徳に頼る習性を疑わないのは、変じゃないか?
第4章 意志―意志が問われる時、本当は何が問題なのか、諸君はまだ問うていない
後語 槌とハエ
著者等紹介
榎並重行[エナミジュウコウ]
1949年4月東京生まれ。早大文学部文芸科卒。高校時代にニーチェと接近遭遇。いらい、〈ニヒリズム〉に始まり、〈神の死〉〈永劫回帰〉といった世に流布した言葉に依るニーチェ研究とは一切無縁の場所でニーチェを読んできた。ニーチェを読むことにおけるニーチェ的なありかたを説いた本書は、ニーチェをテーマにした著者の最初の著作。著書に『新しさの博物誌』『細民窟と博覧会』『流行通行止め』(いずれも、JICC出版局)がある
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