内容説明
大伴茫人ことあの『現代文講義』の田村秀行が、随所に仕掛けを施し、やまだ紫の絵を得て、古典に橋を架ける。まったく新しい『土佐日記』!おじさま、どうして歌なんか習わなければならないの?姫、それはですな、女は歌で男と心を通わせるのです。是非とも立派に身につけねばならぬ技術なのでございますぞ。
目次
姫様、わたくしが前土佐守紀貫之でござります―十二月二十一日~十二月二十八日国府を出発、海へ
「歌」こそが「文芸」の集約点ですからな―十二月二十九日~一月八日大湊に停滞の日々
「美」のためなら何をしてもいいって感じね―一月九日~一月二十日室戸岬の手前まで
そりゃ、わしのほんとの「神」は「歌」ですからな―一月二十一日~一月三十日和泉国を目指して
一首の「歌」を得るのに手を尽くします―二月一日~二月五日和泉の海岸を北上
どうですか、すごい「構想力」と「構成力」でしょう―二月六日~二月十六日淀川を上って京へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
55
『土佐日記』は紀貫之が後に村上天皇の后となる安子の英才教育のための教本として書かれたという仮定のもとに、紀貫之が安子姫に『土佐日記』を通して歌の解釈だけでなく、貴族同士の気の使い方、貴族の日常生活に至るまで細々と解説している。紀貫之が一語一句に至るまで計算し尽くして『土佐日記』を書いているという詳細な解説は、古文を読むうえでとても参考になる。軽快な会話口調はとても読み易いのだが、現代語訳だけで本文がないため、本文を横に於いて読まなくてはいけないのがちょっと残念。2017/05/06
ダリア
3
期待以上に面白かった。土佐日記を姫様の為の教科書として、筆者である紀貫之が先生というスタイルだ。読む側とすれば、姫の立ち位置で良い。あらためて解釈されると、土佐日記は考えに考え込まれた作品というのが分かる。日記という言葉に騙されてはいけないのだ。土佐日記自体を私は別の本で読んでいるのであまり気にならないが、初めて土佐日記を読む人にこれは勧めない。 2016/11/18
sarara0904
2
返却期限が迫って、終盤は拾い読み状態になってしまった。和歌、時代背景、当時の感覚なども丁寧に説明されていながら、若き日の藤原安子姫と貫之老人がいきいきと語る、ラジオドラマのような親しみやすさ。 再度、精読したい。2016/09/03
けん
2
田村秀行師匠の作品に間違いはございません。でも売れなかったのか、続編の広告をあとがきでしているにも関わらず、出ませんでした。残念です。2014/12/15
小澤 泰裕
2
解説は適切だが、原文を載せてゐない、といふ缺點がある。2013/03/04
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