内容説明
文学は肥大する都市をどう表現してきたか。世紀末から20世紀初頭のモダニズムが新たに浮上する。
目次
序 都市/文学=モダンの読解のために
ペテルブルグ 都市の誕生とリアリズムの成立―ペテルブルグの「ティピスト」たち
ニューヨーク 「観念の都市」から「経験の都市」へ―19世紀におけるニューヨークの文学的風景
ロンドン 成熟した都市ロンドン―小説が物語るビクトリア朝世紀末から20世紀初頭
パリ(肥大する都市の「怪物」―ゾラの描く百貨店;レアリズムの都市から理想の都市へ―モンマルトルの丘からの「パリ賛歌」)
ウィーン 死神、ウィーンに来たる―世紀末ウィーンの「曖昧さ」と「死」
プラハ 分裂する都市―「多言語都市」プラハの近代化
東京 モダン都市東京の「音」と「耳」―騒音のアルケオロジー
上海 上海と文学―半植民地都市の「光と陰」
ベルリン 近代都市が現代化したとき―20年代ベルリンのあるインタラクション
感想・レビュー
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Sapporo Shiojiri
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北大言語文化部(現国際広報メディア観光学院)が1992に開催したシンポジウム、公開講座を基に編まれている。19世紀、世紀転換期、20世紀前半、9都市(ペテルブルク・ニューヨーク・ロンドン・パリ・ウィーン・プラハ・東京・上海・ベルリン)を取り扱う。 近代によって生み出される一方、巨大化・複雑化しそれ自身だけで一つの「世界」となった都市。 類型的な人間を描くことにより現実の断片を映す一方、五感のレベルで人々のアイデンティティを形成する文学。本書は文学・都市を通し、近代に迫ろうという試みである。2019/09/05