内容説明
賢治の「心象スケッチ」とは、うす暗い質屋の店番をしながら、必死で見つけだした飛翔のための翼であった。さらに一歩進め、法華経によって開示された根源的エネルギーを、伝達者として創作に活かす途をこれに見出したのである。これまで難解といわれてきた賢治の「心象スケッチ」をやさしく解き明かし、閉塞の時代を打破するための指針を示す。
目次
第1部 「心象スケッチ」論(「心象スケッチ」の生成;「心象スケッチ」の展開;「心象スケッチ」の行方;「心象スケッチ」の力学;「心象宙宇」の構造;「homo patiens」)
第2部 「心象スケッチ」の思想史的背景(「心象」と近代思想;「心象」の現象学)
著者等紹介
田中末男[タナカスエオ]
1948年、愛知県に生まれる。岡山大学法文学部哲学科卒業後、名古屋大学文学研究科(哲学専攻)修了。名古屋大学文学部助手を経て、現在、朝日大学教員および名古屋大学文学研究科非常勤講師。ハイデッガーやメルロ=ポンティなど現象学を中心に現代西欧哲学について研究
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