内容説明
八世紀初め、律令国家の成立に伴い、現在の川崎市一帯は武蔵国橘樹郡に編成された。橘樹郡の郡衙(役所)の所在地は、七世紀後半の創建と伝える影向寺の周辺と想定されてきたが、近年、高津区千年伊勢山台から整然と東西に並んだ掘立柱建物跡が発見され、郡衙の正倉の遺構と確認された。本書は、豪族の氏寺から郡寺へと発展した影向寺、橘樹郡衙の発掘調査の成果、さらに、それ以前に造営された豪族の古墳や横穴墓を紹介し、一四〇万都市「川崎」の原点となった古代の多摩川下流域の歴史像を明らかにする。
目次
序章 橘樹郡衙の一角が発見された
第1章 古刹・影向寺の発掘史とその歴史像(律令期の古代社会とその仕組み;影向寺の調査・研究史 ほか)
第2章 武蔵国橘樹郡衙の発掘と周辺の歴史(近年における郡衙の調査と研究;千年伊勢山台遺跡の発掘成果から学ぶ ほか)
第3章 多摩川下流域の古代史の舞台づくり(多摩川下流域の古墳を逍遙する;橘樹郡域の後期高塚古墳の歴史像を探る ほか)
終章 まぼろしの大井駅家・荏原郡衙へ旅立つ
著者等紹介
村田文夫[ムラタフミオ]
1943年生まれ。立正大学文学部史学科卒。川崎市市民ミュージアム学芸員、川崎市教育委員会文化財課長、川崎市日本民家園長などを務めて退職した。専攻は、日本考古学。2005年、第三〇回藤森栄一賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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