内容説明
幕末から明治にかけての文学的空白期に活躍した仮名垣魯文は、江戸戯作の衣鉢を受け継ぎながら、欧米文化を背景に変転する開化風俗模様を描いた。さらに、新聞人として、明治8年、横浜本町で「仮名読新聞」を創刊し、後に東京へと進出した。本書は、『西洋道中膝栗毛』『安愚楽鍋』などの代表的な著作とその背景に触れながら、有人・金鵞・応賀ら、同時代を生きた戯作者や円朝などの落語家たちの人生と対比しつつ、激しい時代の変動期に生きることを余儀なくされたその生涯をたどる。
目次
第1部 幕末を生きる(処女作まで;習作の頃;ジャーナリスティックな才能の開花;戯作者たちの生活;三遊亭円朝)
第2部 とらわれぬ人(代表作とその背景;国教宣布運動の中で;戯作界の動向)
第3部 最後の江戸戯作者(横浜移住と「仮名読新聞」;戯作者の流派;絶頂からの下降)